様々な業界で採用されているD2Cですが、今食品業界でもD2Cが注目されていることをご存知でしょうか?
私たちの生活に密接に関わりのある食品ですが、この食品業界とD2Cが結びついたのにはどのような理由があるのでしょうか?
本記事では食品関連のD2CブランドについてやD2C冷凍食品の強みについて徹底解説しています。
D2Cの特徴
D2Cの特徴は自社で商品の開発・企画・製造・販売まで行うビジネスモデルです。
主にメーカーやブランドが自社製品をECサイトなどの通信販売サイトを介し、顧客へ直接販売しています。同じようなビジネスモデルに「B2C」といったものがあり、広義の意味ではD2CはB2Cの一種です。
しかしB2Cではメーカーやブランドの間に卸売業者や小売店が介入しているため、メーカーやブランドが顧客へ直接販売していないという違いがあります。D2Cでは、卸売業者や小売店などの仲介業者が存在せず仲介手数料を払う必要がないため、商品のコストを削減できます。
また仲介業者が存在しないことによって自由な販売方法を選択できる特徴もあり、キャンペーンやセールを実施しやすいため、状況に合わせて効率的に販売できる特徴があります。
D2Cについてもっと詳しく知りたい方は「【D2Cのメリットとは?】D2Cの概要や成功のポイントをご紹介」をあわせてご覧ください。
食品D2Cブランドについて
D2Cというビジネスモデルを採用している業界は多く、アパレル業界・化粧品業界・雑貨業界などが挙げられます。
中でも注目を集めている業界は食品業界であり、理由として下記2点が挙げられます。
- D2Cとの親和性が高い
- コロナ禍により急成長
詳しい理由を見ていきましょう。
D2Cとの親和性が高い
食品業界は他の業界と比較してD2Cと相性がよいため、親和性が高いといわれています。
食品は私たちが日々生活するうえで必要不可欠なものであり、健康を維持するために最適な食品を摂取しなければなりません。
しかし近年ではヴィーガンやベジタリアンなど、食に関する思想を取り入れている人が増えています。
またそういった思想だけでなく、遺伝子組み換え食品や無農薬といったオーガニック食品を好んで選ぶ人も少なくないでしょう。
D2Cでは販売する商品のコンセプトを訴求しやすいため、特定のニーズに向けて商品を訴求しやすいです。
さらに毎日の買い物や売り場をめぐって購入するよりお手軽なため、ECサイトなどの通信販売や定期便を購入することで時間の短縮を行うことも可能です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「専業主婦世帯と共働き世帯」によると、2021年の共働き世帯は1,247万世帯あり、1980年に比べて2倍以上増加しています。
一方専業主婦世帯は2021年では566万世帯であり、1980年から半分近く減少しています。
1980年に比べて現代では家庭内で仕事が占める割合が増えており、家庭で過ごす時間が減少していると考えられます。
そうした忙しい現代人にとって、時間をかけず食品を入手できるD2Cと親和性が高いといえるでしょう。
コロナ禍により急成長
食品D2Cブランドはコロナ禍で急成長している背景があります。
矢野経済研究所の「食品通販市場に関する調査を実施(2021年)」で2021年度の国内食品通販市場を調査しており、市場動向・参入企業動向・将来展望を明らかにしています。
コロナ以前における2019年度の食品通販市場規模は約3兆8100億円であるのに対し、2020年度では約4兆3100億円に増加しており、1年で増加額は約5000億円、割合でみると13%以上の増加です。
グラフから見て分かる通り、食品通販市場でショッピングサイトのグラフが大きく伸びていることが分かります。
ショッピングサイトの利用が拡大した影響は、2020年3月13日に発出された1回目の緊急事態宣言による外出自粛・巣ごもり需要・まとめ買いへの需要が大きいといえるでしょう。
在宅期間の増加に伴い、普段より高品質な食品を通販で取り寄せるニーズが増加したと考えられます。
2022年現在でも、デルタ株やオミクロン株、デルタクロン株など新型コロナウイルスへの警戒から、食品D2Cブランドの需要はまだまだ続いており、今後さらに発展すると見込まれています。
冷凍食品D2Cサービスの強み
食品D2Cの中でも冷凍食品が需要を拡大させています。冷凍食品D2Cには3つの強みがあります。
- ・大規模生産
- ・長期間保存
- ・食品廃棄量制限
近年の食品業界における需要増加とD2Cの特徴を組み合わせて、サービスとして強みを確立させている企業が多いです。
冷凍食品D2Cサービスを展開している企業の強みとなっている3つの強みについて、詳しく見ていきましょう。
大規模生産
冷凍食品D2Cは大規模生産が強みの一つです。
大規模生産とは企業や工場の規模が大きくなるにつれて、生産にかかるコスト割合が小さくなることを指します。
商品の製造にも同じことが適用され、少量生産を複数回行うより大量生産を一回行ったほうが、いつ当たりの商品コストが安く済みます。
しかしD2Cでは企画・開発・販売まで一貫して行うビジネスモデルですが、製造設備を持っている企業はそれほど多くありません。
そのため企画・開発で作成した商品の仕様書を製造を行っている企業に委託し、製造工程を外部に委託しているケースが一般的です。商品製造を外部に委託することを「OEM」と呼びます。
OEMに製造を委託する場合、必要生産数を表す「ロット数」を決めますが、ロット数が多い場合一つ当たりの商品単価は安くなります。冷凍食品は大規模生産が行いやすい商品であり、利益になりやすい商品なためD2Cの強みとして活用可能です。
長期間保存
冷凍食品は長期間の保存が可能な商品です。
外出頻度の減少に伴い巣ごもり需要が増加しているため、長期間の保存ができる冷凍食品はニーズが高いといえます。
生鮮食品の値段は時価で決まるものが多く、在宅で1週間の献立を考えてもスーパーに行ったら思ったより生鮮食品の値段が高くなっていることがあり、献立の変更が必要になることもあるでしょう。
一方で冷凍食品の値段は一定であり長期間保存できるため、生鮮食品に比べて見通しが立てやすいといえるでしょう。また大規模生産で製造した商品も長期間保存が可能であり、顧客だけでなく企業としてもメリットがあります。
冷凍食品では無い食品の多くは賞味期限が早めに設定されており、在庫になった商品が損失になる可能性があります。
冷凍食品は販売企業と顧客の双方にメリットをもたらす商品であり、D2Cの販売方法とあわせて活用することでニーズを満たせる幅が広くなる強みになるでしょう。
食品廃棄量削減
冷凍食品は一般家庭の食品廃棄量削減につながる強みがあります。
農林水産省が定義している各家庭から発生している食品ロスである、2019年の「家庭系食品ロス」は、261万トンと推定されています。
食品ロスによって食料資源の枯渇や地球温暖化につながると考えられており、各家庭の食品ロスを減らす取り組みが必要といえるでしょう。冷凍食品は生鮮食品に比べて食品の廃棄量が少なく、各家庭の食品ロスの削減につながります。
現在は世界中で食料資源の有効活用や地球温暖化の抑制を目指す動きがあり、そうした社会の取り組みに参加することが私たちにできることといえます。冷凍食品D2Cは、社会で重要視されている課題への取り組みをブランドコンセプトにすることで社会貢献につなげられ、顧客とともに環境保全に取り組むことができる強みがあります。
まとめ
D2Cは自社で商品の開発・企画・製造・販売まで行う特徴があるビジネスモデルです。
従来のビジネスモデルでは、商品の販売までの間に仲介業者が介入していましたが、D2Cでは仲介業者が存在しないため自由な販売活動ができる特徴もあります。そんな中、近年では食品D2Cブランドが注目を集めています。
食品D2Cブランドが注目を集めている理由は2つです。
- ・D2Cとの親和性が高い
- ・コロナ禍により急成長
また食品D2Cの中でも冷凍食品が注目を集めている背景として3つの強みがあります。
- ・大規模生産
- ・長期間保存
- ・食品廃棄量制限
社会背景における冷凍食品の需要増加とD2Cの特徴をうまく組み合わせて成功している企業もおり、今後も新規企業の参入によりD2C冷凍食品は市場規模の拡大が続くと見込まれています。
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