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2022.11.9
OEM事業とは?|基本情報と主なOEM事業をご紹介
D2C 他社製品

 

ビジネスの可能性を広げる手法の一つにOEMが挙げられます。

OEMとはOriginal Equipment Manufacturing(Manufacturer)、日本語に訳すと他社製品製造業務となります。つまり、OEM事業とは他社製品を製造する業務です。

これだけを聞いてもピンとこない人も多いかもしれませんので、OEM業務とは何を意味するのか、なぜ行うのかなどを掘り下げて解説していきましょう。

OEM事業とは?

D2C 掘り下げ

 

OEM事業とは、冒頭でもお伝えしたように他社の製品を製造する事業です。

「なぜ他社の?」と思う人も多いかもしれませんが、その点を含め、OEM事業についてを解説していきましょう。

OEMについて

OEM事業とは、他社製品を製造することですが、あくまでも双方合意の下です。

決して他社を騙したり、あるいは他社に内緒でといったことではなく、双方が合意の下で、つまり依頼する側、依頼される側それぞれが納得してOEM事業に取り掛かります。

例えば普段お菓子を製造しているメーカーがあるとします。

お菓子製造メーカーは自社の経営状況を踏まえ、お菓子を生産します。

一方、販売店はお菓子を製造している訳ではなく、あくまでもメーカーが製造したお菓子を販売しているだけです。

そこでです。販売業者側が製造メーカーにOEMを依頼します。

これにより、販売業者側は自社にて生産した「自社の製品」を保有できます。

一方、製造したメーカー側は、工場が稼働していない時に生産するので、保有している施設の有効活用が可能です。

つまり、OEM事業はそれぞれのニーズを満たすwin-winのビジネスモデルです。製造メーカーにとっては、余剰生産能力を活用して対価を得ますし、依頼する販売業者は工場等の初期費用をかけることなく自社製品の製造を可能にします。

ただし、製造メーカーと対峙するのは販売事業者だけとは限りません。

工場を持たない事業者にとっては、工場保有業者の環境は魅力的なものなので、工場を保有していない業者と工場を保有している業者の組み合わせで行われるものになります。しかし、詳しくは後述しますが工場保有業者同士でもOEM事業は行われます。

このことからも、やはり冒頭で説明したように、OEM事業とは他社に製品製造を依頼したり、依頼された製品を製造することになります。

OEMの目的

D2C 冒頭

OEMの目的は業務効率化です。

先にもお伝えしたように、依頼する側はわざわざ大規模な生産設備を用意することなく、自社製品の製造を依頼できます。

もしもですが、OEM事業としてではなく自社ですべてを揃える場合、工場建設の用地取得、建設、そして人員確保、そのための求人。そして工場を稼働させるための光熱費、さらには固定資産税。これらを支払う必要がありますが、OEM事業として、生産を依頼すれば依頼する費用のみで自社製品の製造が可能になります。

一方、製造・生産する側とすれば工場・設備は稼働させてこそです。先にお伝えしたように、稼働させなくとも固定資産税はかかります。工場への投資をより効率的なものにするためには、工場を常に稼働させることです。しかし自社の製品のみを生産している場合、工場の稼働状況は自社次第です。例えばですが、在庫で溢れている場合、生産は一時休止することでしょう。

つまり、「何もできない」状況となってしまいます。そこでOEMです。他社からの依頼を受けて工場を稼働し、生産すれば生産の受託費用を得ることができます。自社製品を生産する場合、売れなかった場合の在庫リスクもありますが、OEMであれば売上に基く契約ではなく、生産・製造に関する契約なので、極論ですが依頼を受けて製造したOEM品が売れなかったとしても、生産・製造側には責任はありません。生産品を相手に引き渡した段階で契約締結、報酬を得ることができます。

このように、OEMはそれぞれのメリットを補完し合う、広い意味で業務効率化だと分かるのではないでしょうか。

主なOEM事業をご紹介

D2C 保有

先にOEMは様々な形があるとお伝えしました。

そこで、実際に自動車、家電、携帯電話、化粧品、アパレルなど我々にとって身近な品目で行われているOEM事業についていくつかご紹介しましょう。

・「自動車」

自動車はOEMが多々見受けられる業界です。

自動車業界の場合、どのメーカーも基本的に工場を持っています。

しかし、自動車の種類が細分化されていることから、自社にはない車種の生産をOEMで行うケースが一般的です。

例えばトヨタからはピクシスと呼ばれる軽自動車シリーズが販売されていますが、これは子会社であるダイハツのOEM生産です。

トヨタは自動車生産工場を多々保有していますが、軽自動車の生産が可能な工場がありません。そこで、子会社であり、かつ生産能力に余力のあるダイハツにて製造し、最終仕上げをトヨタで行うことで「ピクシス」として販売しています。

つまり、中身はダイハツ社製です。

実はこの手のOEMはとても多く、マツダから販売されているフレアはスズキの軽自動車ですし、日産から発売されているekシリーズは三菱のOEMです。

OEMを依頼しているトヨタ、マツダ、日産は軽自動車の生産ラインがありませんので、新たに軽自動車用の製造ラインを作るより、既に軽自動車の生産ラインを保有している、提携先からOEMで調達しているのです。

しかし、決して「軽自動車の受託生産」が自動車業界のOEMではありません。例えばダイハツから発売されているメビウスというモデル。これは実はトヨタのプリウスのOEMです。先とは逆に、ダイハツには普通自動車の生産ラインがありません。しかしダイハツは軽自動車メーカーになりますので、普通自動車のニーズはさほど高くはありません。そのためだけにわざわざ普通自動車用の生産ラインを作るのは割に合いませんので、トヨタからOEM供給を受け、販売しています。

・「家電」

自動車の場合、OEMを公言しているので比較的目につきやすいのですが、家電となると非公表のケースも多いです。

しかし、家電も実はOEMが多いです。

例えば激安で知られているドン・キホーテ。成長企業として経済界からも注目を集めている小売り業者ですが、家電業界にも参入しており、ドン・キホーテらしい激安価格で提供していますが、実はその中にはOEMも多々あります。

例えば4k50インチのテレビ。実はこれは主要ボードは東芝製ですし、ドン・キホーテの家電PB製造はアズマという会社が製造しています。

また、少々前の話ではありますが、ヤマダ電機にて販売されていたタブレット、EveryPad III。実はこれ、レノボによるOEM生産です。

・「携帯電話」

我々の生活に欠かせないアイテムとなったスマートフォン。

日本国内で人気を集めているのはiPhoneですが、実はiPhoneもOEMです。

iPhoneを製造しているのは台湾のフォックスコン社。Apple社だけではなく、他の電子機器の製造を手掛けているメーカーで、Appleから、iPhoneというクオリティの高い製品の製造を任せられる会社として頼られています。

実はスマートフォンのOEM生産は台湾企業が多く、フォックスコン以外にもQuanta Computer、Arima Communications、Pegatron等、いくつかの企業がOEM生産を行っています。

・「化粧品」

化粧品もまた、OEMが活発な業界です。

化粧品業界のOEMの特徴として、OEM側が積極的に売り込みを行っている点にあります。この背景にあるのはネットショップに於ける化粧品の需要増です。

ネットショップの購買層は幅広いですが、化粧品に関しては成長を遂げており、かつてのように大手メーカーだけが販売しているのではなく、様々な業者が化粧品を販売しています。そして、その多くがOEMです。

化粧品のOEMの特徴として、微妙に配合・成分等を変えることで、OEMではあってもオリジナリティを出しやすい点が挙げられます。特に近年は有名人がプロデュースする化粧品が増えていますが、当然ですが有名人は工場など保有していません。

化粧品の製造が可能な業者に要望等を伝えてOEM生産を依頼しています。

つまり、世の中には多くの化粧品が出回っているのですが、実は製造しているメーカーは、さほど多くはありません。

・「アパレル」

アパレルのOEMもまた、化粧品同様増加傾向にあります。

かつてアパレルといえば自社にて縫製工場を構えてオリジナルの製品を製造・販売していました。しかし今では分業が進み、多くのアパレル業者がOEMを活用しています。

そんなアパレルのOEMは、デザインと製造が別会社となるケースが多いです。デザインを自由に行い、OEM受託メーカーがデザインに沿ったアパレル品を仕上げます。主なOEM社としては興和株式会社、蝶理株式会社、株式会社GSIクレオス、株式会社ゴールドウイン等が挙げられます。

また、有名なブランドもOEMを活用しています。例えば2019年に日本市場から撤退してしまったアメリカのファストファッションメーカー・FOREVER21。都市部に派手な店舗を構えていたのがまだまだ記憶に新しいかと思いますが、実は同社の製品はすべてOEMです。自社工場を保有していないだけではなく、企画から製造まで全てを他業者に任せ、販売のみを手掛けていました。

逆に一切OEMに頼らず、全て自社工場で生産しているのがユニクロです。

まとめ

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OEM事業について、様々な点から見てみました。「OEM事業」という名称だけを聞くとピンとこない人も多いかもしれませんが、実は既に我々の生活の身近な所で展開されています。

つまり、知らない間に既に消費者の間に受け入れられているスタイルだと考えることもできますので、自社生産にこだわらず、OEM事業を視野に入れてみるのもよいのではないでしょうか。