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D2Cビジネス情報
2022.2.25
【5分でわかる】小ロット生産における多品種発注とは?課題や生産方法を紹介

 

小ロット生産は数こそ少ないものの、短納期が可能な点がメリットです。
一度に大量の商品を仕入れるのではなく、スピード感や発注費用抑制がメリットです。
そのため、基本的に多品種発注は向いていません。
しかし、一方では小ロットにおける多品種発注を効率よく行っているケースも見受けられます。
そこで今回は小ロットと多品種発注の関係性・相関性について解説していきましょう。

 

d2c 多品種

 

小ロット生産における多品種発注とは?

小ロット生産とは、ロット数を抑えた発注を受けての生産です。
生産する工場側としては、さほどメリットはありませんが工場が稼働していない時、あるいは品目によってはさほど大きな負担にならない点や、消費動向の変化によって小ロットのニーズが増えている点などから、小ロット生産に対応している業者が増えています。
しかし、これらはあくまでも単品での話が大前提でした。
単品だからこそ、生産する側としても小ロットではあっても引き受けてくれるものでしたが、多品種発注となると少々事情が変わります。多品種発注とは、その名称・文言からも分かるように、様々な品目を発注することです。
Aだけを1ロット依頼するのではなく、A、B、Cそれぞれ1ロットずつ依頼する。これが小ロットの多品種発注になります。
多品種発注は、大ロットであれば工場・生産者側としても嬉しいことでしょう。
なぜならそれだけ生産量が増えますので、工場を長期間・長時間稼働させなければなりません。
つまり、利益が出ます。しかし、小ロット多品種となると話は変わります。
そもそも、小ロットが生産者側にとっては利益率がさほど高くはないスタイルですが、さらにそれを多品種となるのです。
生産者側にとっては利益率の低い案件をいくつも抱えることになりますので、そもそも小ロットでの生産を敬遠している工場さえあるのです。その小ロットを複数依頼するとなれば、敬遠どころか、嫌悪感を抱く工場もあることでしょう。
しかし、様々な品目を用意したい業種であれば、小ロットの多品種発注も視野に入る手法です。
有効活用することで、業務を円滑に、かつ理想通りに進めることができることでしょう。

 

小ロット生産における多品種発注の課題とは?

小ロットの多品種発注を上手く活用することで様々な品目を扱っている業者としての知名度・信頼を獲得できることでしょう。
しかし課題があるのも事実です。
メリット面だけではなく、課題も把握しておかなければ、予期せぬデメリット面に直面し、計画通りに事業を進めることができなくなります。
そこで、どのような課題があるのかをご紹介しましょう。

 

小ロット生産における多品種発注はコストがかかる

小ロットは、大ロットよりも基本的にコストがかかります。
生産者側としては、多く注文してくれるのであれば、交渉にて多少単価を下げることも検討します。
なぜなら、単価を下げても、大量に生産を任せてくれるので利益を確保できるからです。
しかし、小ロットの場合、生産業者側にとってはさほど大きな利益になりませんので、単価は高めに設定されるものです。
ましてや単価の高い生産方式を、多品種で行うとなれば、コストがかかります。販売事業における利益とは、

販売金額-生産コスト

で、表すことができます。

生産コストが高まるということは、利益を削られることになるのですが、多品種発注は利益を削られる生産を多数依頼することになるのです。
いわば薄利多売の連続になります。ましてや多品種の場合、数が増えるのではなく、品目が増えるので工程が増える分、費用を削る方法がありません。
同品種を大量生産するのであれば、用意する資材が同一で済む点がコストダウンを可能にするのですが、多品種ではそれもできませんので、コストダウンが難しいのです。

 

d2c 発注先

 

小ロット生産における多品種発注は純原価も課題

小ロット生産における多品種発注は、様々な商品を小ロットで依頼することになります。
そのため、コストダウンが難しい点が特徴だとお伝えしました。
この点は、裏を返せば純原価が課題になる部分です。
純原価とは、本来商品を生産する際の原価です。
一方、実際にかかった費用が実原価です。
先に小ロット生産は、基本的に割高になりやすいとお伝えしました。
さらには多品種発注となれば、大ロットの大量生産と比べるとどうしても割高になってしまいます。
致し方ない部分ではありますが割高になってしまいがちです。
そのため、純原価を正しく把握、1個販売する毎にどれだけの利益を得られるのか、正しい数字を把握しておく必要があるのですが、小ロットかつ多品種発注の場合、様々な品目を発注することから、純原価を把握しにくいです。
原価の総額、あるいは売上の総額は出せますが、単品での純原価が出しにくいです。それもそのはず、多品種発注は、一度に発注しますので細かい品目の原価の選定が難しいのです。つまり、丼勘定になりやすいです。
特に工場によっては品目ではなく、一度の発注量での契約となりますので、品種毎の純原価の把握が難しいことから、売上を見ても、果たして利益になっているのか、利益になっているとしても具体的にどれだけの利益を上げているのかの把握が難しいのです。

 

小ロット生産における多品種発注は段取り替えの多さも課題

小ロット生産、大ロット生産に限らず、工場での生産は、資材を準備し、設備を稼働させます。
その際、品目によって様々な設定があります。
大ロットが喜ばれる点として、同じ設定で大量に生産しますので、わざわざその都度設定する必要がない点にあります。一度設定することで、後は生産ラインが動くだけです。つまり、生産品が変わらない限り、再設定の必要がありません。
しかし多品種の場合、様々な品目を生産します。
さらには小ロットになりますので生産量も少ないことから、設定・段取りの変更をこまめに行わなければなりません。
例えば大ロットであれば、一度設定するだけで、後は数時間何もする必要がないケースもあるでしょう。
この場合、わざわざ人がつく必要はありません。
作業工程の中で人間が必要な部分に配置するだけでよいのです。
しかし小ロットの多品種発注は違います。
小ロットなので生産時間も短いですし、一つの品目の生産を終えたら、その都度段取りを変えなければならないのです。
生産者側にとっては手間がかかります。この点もコストが高くなる理由の一つです。
単品かつ大ロットであれば、生産者側の手間はほとんどかかりません。
また、多品種ではあっても大ロットであれば、一つの品種の生産はそれなりに長時間になりますし、生産者側の手間もさほどかかりません。しかし小ロットの場合は手間がかかります。この点が小ロット多品種発注が敬遠されてしまう理由です。

 

小ロット生産における多品種発注の効率的な生産方法

小ロットの多品種は、いわば効率の悪い生産方法です。
生産者側もその点を承知しているからこそ、敬遠したくなる依頼なのですが、小ロットの多品種発注を効率的に生産する方法もあります。例えば生産順番です。作業工程が似ているものを連続させることで、手間を最小限に抑えます。
また、小ロットではあっても品目によって生産数が変わりますのでスケジュールに合わせて生産順番を決めることで、段取り替えを、他の作業のタイミングと合わせることで負担の軽減につながります。小ロット多品種生産は、どうしても段取り替えを行わなければなりません。
この点は変更はできませんので、他の作業との組み合わせによって、効率を求めるしかありません。例えば他の業者から同じような品目の生産を受けていれば、タイミングを合わせて生産を行うのも良いでしょう。そのため、アイディア次第では小ロット多品種であっても効率的な生産が可能になります。

 

小ロット生産における多品種発注のコスト対策方法「5S活動」

小ロット生産に限った話ではありませんが、生産現場では「5S活動」が基本です。
5S活動を実践することで、どのような作業の効率も向上が見込めます。

5Sとは、

  • ・整理
  • ・整頓
  • ・清掃
  • ・清潔
  • ・躾

の5つのSです。

これらは具体的施策・テクニカルなものではなく、あくまでも環境作成のためのものです。
つまり、小ロット多品種に対しての効率的な手法ではありません。
いわばどのような生産環境に於いても意識しておくべき点になります。
ただでさえ段取りが少々面倒なのです。
現場環境を整えておくことで、余計な負担を軽減するという考え方です。
整理・整頓しておけばどこに何があるのか把握できますし、円滑な作業が可能です。
清掃・清潔な環境であれば、ミスも起こりにくいことでしょう。
そして躾。この点のみ設備環境の問題ではなく、人間の問題になりますが、設備を操作する人間のスキルもまた、効率化には重要です。
いくら大まかな設定操作のみではあっても、熟練したスタッフの操作と、慣れていないスタッフの操作とでは効率は変わります。
マニュアルを見ながら時間をかけての段取りと、何も見ることなくスピーディーに作業できるスタッフ。
どちらの方が全体を通して効率的な作業・生産になるかは言うまでもないでしょう。

d2c 小ロット

 

小ロット生産:まとめ

小ロットの多品種発注。
それは受注する側にとっては、旨味の低い話であることは間違いありません。
しかし、環境を整えることで、小ロット多品種生産も多少は効率化が可能です。
また、発注する側としてもこのような事情を理解しておくことが重要です。相手にとっては旨味が少ない業務だと弁えておくことで、相手の心情面に寄り添うこともできるのではないでしょうか。結果、信頼関係の構築が、本来では回避したい小ロット多品種を引き受けてくれるに至るのです。