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D2Cビジネス情報
2022.4.19
化粧品ECが抱える3つの課題|市場規模や成功ポイント

オンライン上で簡単に手に入るものが増えている一方、イマイチ勢いに乗り切れていない業界があるのをご存知でしょうか。
それは化粧品業界です。

本記事では化粧品のEC化が遅れている原因や、成功させるためのポイントを解説していきます。

化粧品ECの市場規模とEC化率

D2C 常識

EC化率とは、全体の売り上げに占めるECの割合です。
例えばEC化率が10%であれば、売上のおよそ1割をECで記録していることになります。経済産業省の調査によると、化粧品EC化率は下記の数値となっています。

  • ・2019年:6.00%
  • ・2020年:6.72%

2019年から2020年にかけてEC化率は成長していますが、他の業界と比較するとEC化率の低さが顕著です。

  • ・書籍、映像、音楽ソフト:42.97%
  • ・生活家電、AV機器:37.45%
  • ・生活雑貨、インテリア:26.03%
  • ・アパレル:19.44%

これらと比較すると、化粧品のEC化率の低さが顕著であることが分かります。

また市場規模も他のジャンルと比較すると小さいです。

  • ・書籍、映像、音楽ソフト:16,238億円
  • ・生活家電、AV機器:23,489億円
  • ・生活雑貨、インテリア:21,322億円
  • ・アパレル:22,203億円
  • ・化粧品:7,787億円

この数字を総合的に考えると、化粧品は他の業種と比較すると、市場規模も小さく、かつEC化率も低いことが分かります。

化粧品EC化率が低い理由と3つの課題とは?

d2c 美容

他の業界と比較すると、EC化率、EC市場規模ともに低い水準となっている化粧品ですが、その理由として考えられるのは以下の3つです。

  1. 実店舗の多さ
  2. 産業への不信感
  3. 市場の状況

それぞれについて掘り下げてみましょう。

化粧品EC化率が低い理由①実店舗が全国にある

化粧品産業のEC化率やEC市場が低下している原因として、化粧品を実店舗で購入する消費者の多さが挙げられます。

化粧品は何よりも自分自身との相性が大切です。どれだけ評判が良くても実際に使用してみなければ分かりません。実店舗ではテスターを利用できたり美容スタッフからテストを受けることができますが、オンライン上では試すことができません。

そのため、オンラインで情報を収集し、店舗まで足を運んで購入する消費者が多いです。

化粧品EC化率が低い理由②化粧品・コスメ業界への不信感

オンライン上の化粧品に対して不信感を抱いている消費者が多いのもEC化率の低さの原因です。

その中でも化粧品の誇大広告による影響は大きいです。
画像等で効果が出たとアピールしているものの、本当にそれだけの効果を得たのか、加工された画像なのではとの不信感を抱かれています。購入したもののほとんど効果が出ず、「騙された」と感じたことのある消費者も多いです。

個人差があるとはいえ化粧品にはこのようなことが多いため、実際に商品を見て購入したいと考える消費者が多いといわれています。

化粧品EC化率が低い理由③化粧品・コスメ市場はレッドオーシャン市場?

化粧品業界は大手のシェアが多く、上位5社でおよそ8割ほどの市場シェアを誇るなど、新規業者が参入しにくい業界として知られています。
成功の可能性が低いジャンルに新規でチャレンジしようとする業者はいません。つまり、化粧品・コスメ市場はレッドオーシャン市場ということができるでしょう。

上位5社にとっては争いが激化しているものの、業界の常識を打破するような新たな業者が参入してくる可能性は低いです。そのためEC化率が低いままでもさほど困らないのです。大手がオンラインにさほど力を入れていないことから、「他が力を入れていないからうちもまだいい」と判断している可能性もあります。

化粧品ECを成功させる3つのポイント

では、化粧品ECを成功させるにはどのようにすればいいのでしょうか。化粧品・コスメECで成功するための3つのポイントをご紹介します。

化粧品EC成功ポイント①コンテンツの発信

まずはコンテンツの発信です。

化粧品はライバルが多いため、数ある他の化粧品に埋もれてしまわないよう積極的にコンテンツ発信を行う必要があります。これによって顧客の興味を維持し、商品のアピールに繋がります。

特に化粧品のメインターゲットはSNS使用率が高いので、SNSによる積極的な発信が求められます。インフルエンサーを活用した発信をしても良いでしょう。

化粧品EC成功ポイント②信頼性の確保

化粧品の誇大広告の被害を被っている消費者が多いということは、化粧品のECサイトは信用できない消費者が多いことを意味しています。そのため、信頼性の確保が鍵となります。

化粧品の紹介だけではなくコンテンツ全てにおいて真実を追求し、誇大広告だと解釈されることは控えましょう。

科学的根拠に基いた紹介など、主観ではなく客観性のあるデータの使用が好ましいです。主観的な言葉は消費者には伝わりづらいため、何が使用されているのか、なぜその効果が期待できるのか等を化学的根拠から説明できれば、信頼性の確保に繋がります。画像等でアピールしたいのであれば、画像加工ができない動画でアピールした方がよいでしょう。

化粧品EC成功ポイント③リピーター増加

化粧品ECを成功させるための最後のポイントはリピーターです。
もちろん新規顧客獲得も大切ではありますが、リピーターが多ければ多いほど、安定した収益の確保に繋がります。新規顧客獲得のための施策も大切ですが、リピーターになりやすい施策も大切です。

リピーターを作るためには効果が出るのは大前提ですが、継続して支払える価格設定もポイントです。

例えば継続利用であれば新規や単品購入よりも安価に設定したり、初めからサブスクリプションを用意するのも良いでしょう。如何に継続してもらうかが大切です。

化粧品・コスメEC化:まとめ

d2c リピーター

化粧品業界はEC化率が低く、新規参入がしにくい業界となっています。しかし、

  • コンテンツの発信
  • 信頼性
  • リピーター

この3つを意識することで、ECの成功率が高まります。もちろんそれらに関しての具体的施策はしっかりと煮詰める必要がありますが、無条に諦めるのではなく、チャレンジしてみるのもよいでしょう。