商品開発は、企業の営利活動の肝となる部分です。
何を提供するのかによって利益はもちろんですが、販売戦略等も変わりますし、仮に広告プロモーションに力を入れても、肝心の商品そのものに魅力がなければ売上は乏しいものになってしまいます。
そこで商品開発において何が大切なのかや、商品開発の手順、成功事例等、商品開発に関するトピックを様々な角度から解説していきますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
商品開発とは何か?
商品開発とは、企業が販売する商品を開発することです。
より具体的には、商品・製品を形にすることです。開発の前に、企画が行われます。企画はいわばイメージです。現実的にできるのかや、採算が合うのかといった現実的な点ではなく、まずはあれこれイメージします。
時には非現実的なイメージもありますが、企画の段階であれば何ら問題ありません。
企画で浮かんだプランを、実際に商品化するプロセスが開発になりますので、開発は現実的な視点が必要になります。大量生産できるのか、コストはどれだけかかるのか、採算ライン等、現実的な視点で開発を行うことになります。
そのため、企業の資本力によっては、企画された商品・製品と大きく異なるケースが珍しくありません。
また、商品開発も企画同様、何度も何度も繰り返し行われることになります。
商品開発にて形になった商品・製品は、すぐに販売されるのではなく、企業の責任者や開発チームによって吟味されます。ここで了承されると販売へと移行するのですが、改善点等が指摘された場合には、再度開発を行うことになります。ヒット商品の中には、幾度となく開発を行い、ようやく商品化・製品化に至ったものもあります。
商品開発がおすすめの企業とは?
商品開発のお仕事に携わるのであれば、おすすめの企業は大企業です。
なぜなら大企業の方が商品開発のための費用、さらには設備等が充実していますので、商品開発環境に恵まれています。
例えば材料一つにしても、大企業であれば予算が多いので選択肢が増えます。中小企業の場合、予算だけではなく開発リソースそのものが限られています。
商品開発とは、限られた条件の中で製品化を目指すものですが、大企業と中小企業とでは、「限られた条件」に大きな差があります。
もちろん条件が多々用意されている中小企業の方がやりがいがあると感じる人もいるかもしれません。また、中小企業の方がスピード感のある商品開発が可能なケースもありますが、じっくりと商品開発を行いたいのであれば、大企業の方が向いています。
商品開発の成功・失敗事例を紹介
商品開発は、どの企業も苦労しているものです。
ヒット商品の裏側を見ると、何か月、あるいは何年と商品開発を続けてようやく商品化が実現した物も珍しくありません。しかし、必ずしも商品開発に成功するとは限りません。
長年商品開発にリソースを割いたものの、結局は思うようにいかなかったケースもあります。そこで商品開発の成功例と失敗例をそれぞれご紹介しましょう。
商品開発の成功例|カビキラー
1982年の販売開始以降、カビ対策用品としてトップシェアを走り続けるカビキラー。
ジョンソン社から発売されているこちらの商品は、多くの主婦の強い味方ですが、商品開発の成功例として取り上げられることも珍しくありません。
カビキラーがヒットを記録した理由として、強い不満=強いニーズに応えた点が挙げられます。
元々ジョンソン社では、お風呂場のタイルの黒ずみを取りたいという、主婦にとっての強いニーズ、つまりは黒ずんで困っているという強い不満に応えたいとの思いがありました。
カビキラー登場前は、カビの汚れは簡単に落とせるものではありませんでした。カビという特性上、力任せにこすったところで、むしろカビの繁殖を促進させてしまい、黒ずみが増えてしまう等、主婦にとって如何ともしがたいものでした。
そこでカビキラーです。「黒ずみを綺麗にしたい」というニーズに応えるのはもちろんですが、「できれば楽に」「掃除の度に苦労するのが面倒」といった潜在的な掃除ニーズにも着目し、吹きかけてさっと落とすだけの商品開発を進めました。いくらカビを落とせるとしても、苦労させるようでは意味がないと考え、「苦労せずに」「カビを落とす」をテーマに開発されたカビキラーは大ヒットを記録。同社の看板商品として、今日も尚、多くの黒ずみを綺麗にしています。
商品開発の失敗例|ハーレー・ダビッドソンの香水
ハーレー・ダビッドソンといえばバイクに興味のある方であればご存知でしょう。
「ハーレー」と呼称される、いわゆるアメリカンタイプのバイクを製造・販売しているメーカーです。
バイクマニアから圧倒的な支持を集めているメーカーですが、かつて香水を販売していたのをご存知でしょうか。
ハーレーといえば、「軽くバイクで遊ぶ」ではなく、いわば本格派。今日でこそ女性ライダーも増加していますが、かつては男臭さを感じさせる、武骨なバイクメーカーとしてのイメージが強かったのです。
しかしです。
その「男臭い武骨なメーカー」が、香水を販売しました。
既にハーレー・ダビッドソンのブランドは確立されており、アメリカだけではなく世界中に固定ファンを掴んでいました。
つまり、ハーレー・ダビッドソンの狙いとしては、既に同社のファンである男性に香水をと考えたのでしょう。ハーレー・ダビッドソンとしても勝機を感じていたからこそ、香水の開発・販売をと考えたのですが、結果は大惨敗。
その理由として、ハーレー・ダビッドソンのファンは、ハーレー・ダビッドソンの武骨な部分に惹かれていたものの、香水という、武骨とはかけ離れたものをリリースしたことで、興味を示しませんでした。
如何に既に多くのコアなファンを獲得しているとしても、コアなファンのニーズにない商品開発に力を入れたところで商品は売れません。
既に販売されていませんので、ハーレー・ダビッドソンが香水の販売を手掛けていたことを知らない方も多いことでしょう。
しかし、ハーレー・ダビッドソンの失敗は、商品開発における失敗事例として取り上げられる機会の多い話です。
商品開発の手順を徹底解説!
商品開発の具体的な手順についても解説していきましょう。
もちろんそれぞれ微妙に異なる点もありますが、大まかな流れとしては下記になります。
(1)自社のビジネスモデルを考える
まずは自社のビジネスモデルを考えましょう。
ビジネスモデルとは、利益を上げるための方法です。
何を売るのか・提供するのか等、まずは基本的なビジネスモデルを考えましょう。この点に関してはまだまだ具体的なビジョンである必要はありません。
漠然としたものでもよいので、まずはビジネスの肝となる部分を考えましょう。いわばここが商品開発はもちろんですが、新たなビジネスの出発点です。
(2)顧客、競合、自社のリサーチをする
自社の特徴や強みだけではなく、競合や顧客等、ビジネスに関連するものに関してリサーチを行いましょう。
ここでポイントは、極力客観的なデータを集める点です。例えば自社の強みも、主観的な意見ではなく、売上等のデータからの強みをチェックしましょう。
顧客、競合を含め、客観的なデータを揃えることで、見えてくることが多々あるはずです。
主観や希望的観測ではなく、あくまでも客観的なデータこそ、更なるステップに求められるものです。
(3)アイデアを出し、商品を試作する
リサーチに基づき、アイデアを出しましょう。そして、多少アイデアが固まったら試作します。
この点に関しては、一度で決めるのではなく、何度も繰り返すことになるでしょう。しかしここが商品開発の肝です。
妥協せず、納得のいく商品を開発するか、あるいは妥協の連続で当初想定していたイメージとかけ離れてしまうかを左右する部分です。
会社としても商品開発に避けるリソースには限りがありますが、商品開発において最も重要なポイントになります。
(4)市場に出してテスト販売する
試作した商品を一度市場に出してみましょう。
「試作品」と謳って市場に出したり、あるいはターゲットが多く見込まれる店舗、あるいはWEBサイトだけなど方法は様々ですが、テスト販売して反応をチェックしましょう。
好評であればそのまま市販化しても良いですし、反応がイマイチであれば、先の「アイデアを出し商品を試作する」の段階まで戻って再び商品開発を目指すことになります。
この部分は売れ行きを左右する部分です。
売れないから失敗を意味するのではなく、売れないのであれば何らかの改善点が必要だと解釈しましょう。あくまでもテスト販売なので、利益を上げることではなく、データ収集が目的です。
テストで売れ行きの良いもの、問い合わせなど反響の大きなものであれば商品化しても良いですし、反応が薄い場合には、ターゲットまで訴求できていないことを意味しますので、更なる改良が必要です。
(5)商品化する
テスト販売で良い反応を示し、手応えを感じた商品は商品化を進めましょう。テスト結果に基づいたものなので、テスト時と大きく反応が異なることにはならないはずですが、広告戦略等、テスト時には意識する必要のなかった点まで考慮する必要があります。
広告・宣伝戦略によってもまた、売上は大きく変わりますが、新規の商品開発なのか、あるいは既存品の改良なのかによっても広告・宣伝戦略は変わります。
また、採算ラインの設定もテストでは不要ですが、商品化した際には意識しなければなりません。テスト販売は売上ではなく、あくまでもデータ収集が目的ですが、商品化は利益を目指さなければなりませんので、採算等も踏まえた商品化が求められます。
商品開発:まとめ
商品開発の手順や成功・失敗の事例等を紹介させていただきました。
商品開発は必ず成功するとは限りません。時間や費用など、リソースを割いたものの思うような結果が出なかったケースも珍しくありませんので、商品開発を行う際には、明確なゴールを設定し、ゴールのために様々なフローを進めていくことになります。
そこでの成否を左右するのはどれだけ客観的かつ正確にリサーチできるかです。
自社だけではなく競合やターゲットの特性までリサーチし、商品開発を進めましょう。