D2Cブランドを立ち上げようと考えている会社も多いようです。
それだけD2Cが成長を遂げ、注目を集めているビジネスモデルだからこそですが、D2Cは急成長を遂げているとはいえ、決して魔法ではありません。
誰でも簡単に成功するものではなく、D2Cで成功を収めている会社の多くは、緻密な戦略の元でD2Cを実践しているのです。
ではその「緻密な戦略」とは具体的に何をするのか、その点を踏まえてD2Cブランドの立ち上げの方法や成功ポイントを含めて解説していきましょう。
目次
D2Cブランド立ち上げのための4つのステップ
D2Cブランドを成功させるためには緻密な戦略が必要です。
その「緻密な戦略」は、下記の4つのステップにあると考えてよいでしょう。
これらのステップを理解したうえで実践することでスムーズにD2Cを立ち上げることができるはずです。
市場・顧客ニーズの調査
まずは市場・顧客ニーズの調査です。
ビジネスとは、基本的には如何にニーズに応えるかです。
大きな会社ともなればニーズを生み出すための施策も可能でしょう。
しかし、一般的には如何にニーズに応えるのかが求められていますので、どのようなニーズがあるのかを調査しましょう。
この点が一歩目となりますので重要なポイントです。
一口にニーズといっても様々で、例えば既存サービスに関する改善要望も広い意味ではニーズですし、世の中に登場していないサービスへの期待もニーズです。つまり、ニーズとはとても幅広いものなので、幅広い調査が必要になりますが、ニーズにないブランドを立ち上げたところで誰も利用してくれません。
消費者にとって、お金を出して商品・サービスを購入・利用するということは、自分自身の思いに応えてくれるとの期待があるからこそです。
明らかにニーズとは異なる商品・サービスにはお金を使う人などそうそういませんので、如何にしてニーズに応えるのかが求められています。
そのためにも、ニーズの調査は重要です。
つまるところ、他の業者が応えていないニーズを見つけることができれば、D2Cの成功が近付くと考えることができます。
ブランドコンセプト決定
ニーズを調査した後はブランドコンセプトの決定となります。
ブランドコンセプトもまた、重要です。
なぜなら、ブランドコンセプトに基いて商品開発、サイトデザイン・運営、接客等を行うことになります。
いわばビジネスの根幹となる部分です。そんなブランドコンセプトの選定の鍵となるのもやはりニーズです。
例えば高級サービスのニーズが低いようであれば、高級路線は多くの人のニーズを満たすものではありません。
ブランドコンセプトもまた、判断材料は市場・顧客ニーズとなりますので、如何に市場・顧客ニーズの調査が大切なものなのかが分かるのではないでしょうか。つまり、市場・顧客ニーズの調査を念入りに行えば行うほど、ブランドコンセプトは決めやすくなります。
裏を返せば、ブランドコンセプトがなかなか決められない場合、市場・顧客ニーズの調査が足りていません。
情報が少ないからこそ決めあぐねるのです。情報が多々あれば、自ずとどのような道が良いのかは見えてくるものなので、市場・顧客ニーズの調査はしっかりと行いましょう。特にブランドコンセプトは途中変更が難しいです。
決して不可能ではありませんが、少ないながらにせよお客が付いている中でのブランドコンセプト変更は、既存客を失うことにもなりかねませんし、周囲に対して「方向性が定まっていない会社」とのイメージを与えかねません。
特に現代消費者は賢いです。ブランドコンセプトを変更しようものなら、「間違っていたんだろう」「売れなかったんだろう」といった、ネガティブなイメージをすぐに抱かれてしまうことでしょう。そのため、ブランドコンセプトに関しては「後で変更できる」とは考えず、立ち上げの時点で変更する必要のないブランドコンセプトの選定が求められます。また、ブランドコンセプトに関しては上層部だけではなく、社内全体で共有することが望まれます。
なぜなら、ブランドコンセプトはD2C事業の方向性を示すものです。
上層部や決定権のある人間だけで把握するものではなく、従業員全員で共有することで、ブランドコンセプトに則ったサービスの提供が求められるのです。D2CはECサイトでの販売が肝となりますが、携わるスタッフで共有していなければ、ブランドコンセプトを徹底したサービスの提供が難しくなります。
商品を企画、製造
ブランドコンセプトが決まったら、商品の企画・製造となります。
当然ですが、ブランドコンセプトに則ったものが求められます。
例えば高級感を売りにするブランドコンセプトであれば、商品には高級感が不可欠です。
つまり、ブランドコンセプトによってある程度商品の方向性が決まります。
もちろん商品の選択肢も様々ではありますが、ブランドコンセプトに合致しているのかが重要です。
ブランドコンセプトから大きくかけ離れた商品をリリースした場合、自社の掲げるブランドコンセプトと消費者が思うブランドイメージに乖離が生じることでしょう。つまり、自社のコンセプトが正しく伝わりません。商品もまた、ブランドイメージを作るための一つです。
ただし、ブランドコンセプトを踏襲しつつ、売れる商品でなければなりませんので、頭を悩ませる部分となることでしょう。
D2Cとは商品を売るためのマーケティング術ですが、如何に素晴らしいマーケティングを行っても、肝心の商品力が低くては顧客から選ばれることはありません。顧客から選ばれるためには商品力も重要になりますが、一方でブランドコンセプトのように変更が効かないものではなく、仮に商品化したとしても、売れなければやり直すことができます。
D2C立ち上げのためには4つのステップがあるとお伝えしましたが、この項目の商品の企画・製造、そして販売チャンネルに関しては、後からの変更が可能な部分になりますので、試行錯誤でいろいろとチャレンジしてみるのも良いでしょう。
しかし、先にもお伝えしましたがブランドコンセプトに関しては途中で変更してはマイナスイメージを与えかねませんので慎重に決めましょう。
販売チャネルの決定
商品まで決定したら、次は販売チャンネルです。
販売チャネルも、ブランドコンセプトがカギを握っています。
例えば、これまでの例ででた高級感を売りにするのであれば、販売チャンネルも多少は高級感を演出できる方が良いでしょう。
「いつでもどこででも買えます」ではなく、購入そのものもどこか人を選ぶような方が、かえって消費意欲を刺激します。
しかし、高級感よりも親近感を出すのであれば、消費者を選ぶような販売チャンネルは悪印象を抱かれかねません。
気軽に購入できる販売チャネルの方が、ブランドコンセプトにもマッチしています。このように、販売チャネルにおいてもある程度ブランドコンセプトを意識する必要があります。D2Cの場合、基本的にはECサイトでの販売となりますので、販売チャネルもネット上になりますが、例えばネット上でもモールと自社サイトでは顧客への印象は大きく異なります。
また、ブランドイメージだけではなく実利やターゲットとなる顧客の消費者行動も考慮しなければなりません。
例えばですが、あまりネットを使用しない層に向けて販売したい商品であれば、ECサイトよりも店舗で対面しての販売の方が効果が出やすいですし、ネットネイティブ・Z世代のような、WEB上での販売に何ら抵抗がなく、分からないことは自ら調べるタイプの顧客を相手にするのであれば、対面式は面倒だと思われるだけなので、WEB上で気軽に購入できるチャネルの方が向いています。このように、販売チャネルはブランドコンセプト+ターゲットの消費行動に基いて決定されるものです。
D2Cブランド立ち上げから成功までの3つのポイントをご紹介
D2Cブランドの立ち上げを済ませたら、次は成功させることがテーマとなります。
D2Cブランドのゴールは立ち上げではありません。
成功してこそですが、成功のためのポイントとしては、主に下記の方法が重要になります。
市場や顧客のリサーチを行う
D2Cブランド事業を展開した後も、絶えず市場・顧客のリサーチを行うことが大切です。
D2Cブランドを立ち上げる際にも市場・顧客リサーチは行いますし、その後のブランドコンセプトの選定等にも影響を与える大切なものだとお伝えしました。
しかし、決してD2Cブランドを立ち上げで終了するものではありません。
常に意識し、考慮しておかなければならないことです。
売上が悪い時だけではなく、良い時ではあってもいつ市場・顧客のニーズや状況が変わるか分かりません。
特にD2Cは顧客へのアプローチが重要になりますので、絶えずリサーチを行うことが大切です。
効果測定して仮説・検証を繰り返す
D2Cブランドを立ち上げた後には当初の計画に沿って事業を展開することでしょう。
その結果はどうなるのか未知数です。
そこで、効果測定が大切です。効果を測定したら仮説を立て、検証する。
この繰り返しによって、立ち上げたD2Cを軌道に乗せることが大切です。
D2Cに限らず、どのビジネスモデル、マーケティングにおいても「必ず成功する」は有り得ません。
成功者の地位にいる企業も、失敗を繰り返して現在の地位を掴んだのです。
D2Cにおいても、なかなか成功しないとしても決して間違いではありません。
むしろ成功がつかめない段階でどれだけ効果測定からの仮説や検証を繰り返すかが重要で、それらはいわば会社として企業な財産になりますので、効果測定、そして仮説・検証の繰り返しこそ、D2C、ひいては事業そのものを成功に導くために必要です。
まとめ
D2Cブランドの立ち上げ、そして成功するためのポイントについてを解説しました。
これらからもわかるのは、D2Cは市場・顧客リサーチが重要です。
常に市場・顧客をリサーチし、何が求められているのかを考え、その時その時のニーズを把握し、応えることが求められます。
いずれにせよ、市場・顧客リサーチはD2Cの肝です。
これらに関しては決して終わりはありませんので、絶えずリサーチを続けることこそ、D2C成功のポイントになります。