近年物販におけるEC販売の市場規模は、急速に拡大しています。D2Cビジネス新規参入者にとってEC販売は、コストや運営に対してさまざまなメリットを受けることができます。
本記事では、これからEC販売を始める方に向けて、EC販売の始め方からECサイト運営方法まで徹底解説します。
目次
ECとは?
ECとは、「Electronic-Commerce」の略であり、電子商取引を意味する単語であり、インターネット上でモノやサービスを売買する小売商売全般のことを指します。
EC事業は急速に拡大をしており、経済産業省が2021年7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、物販分野におけるBtoCEC事業の内訳として「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆3489億円)「衣類・服装雑貨等」(2兆2203億円)「食品、飲料、酒類」(2兆2086億円)「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆1322億円)の上位4カテゴリー合計で、73%を占めていることが分かります。
また、スマートフォンを経由した物販EC事業も拡大しており、2020年は6兆2269億円。物販ECに占める割合は50.9%で、2019年比で8.5ポイント拡大しています。
出典:日本経済産業省|「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」
市場規模が拡大しているということは、消費者が増加しているだけでなく参入事業が多くなっていることも意味しており、Amazonジャパンや楽天市場など新規参入しやすい環境が整っていることも市場拡大要因の1つでしょう。
ECの事業者メリットとは?
EC事業には、インターネットの発展により、さまざまなメリットを内包するようになりました。
具体的にどのようなメリットがあるのか見てみましょう。
店舗を持たずに世界展開へ
EC事業のメリットの一つとして、店舗をもつことなく販売事業を開始できるものがあります。
従来の販売方法では、商品やサービスを提供する小売店舗を用意し、商品の販売を行う必要がありました。店舗販売では立地に依存しており、商圏内のお客様だけを対象にするしかありませんでした。
しかしEC事業では、インターネットを媒介としているため店舗の立地に左右されず、いつでも日本全国の消費者をターゲットとすることができます。また、日本全国のみならずインターネットさえ使えれば世界へ商品を販売できるビジネスモデルです。
店舗を用意しなくても、ECサイトの開設だけで商品を全世界に販売できる点は、EC事業における最大のメリットといえます。
顧客データの宝庫
ECは、店舗販売に比べて顧客データを集めやすい特徴があります。
店舗販売では、商品の販売数や訪れるお客様の性別は大まかに分かりますが、それ以上の情報を得ることが困難です。
一方で、インターネット販売を行うECでは、Googleアナリティクスなどの分析ツールを活用することで、ECサイトに訪れるユーザーの年齢や性別などの属性、購買行動に至るまでの過程を細かく調査することができます。
また、商品配送を行うための個人情報を得る必要があるため、住所や氏名など具体的な情報を確保しながら購入履歴を蓄積することが可能です。
ユーザー情報が蓄積すれば、ニーズを捉えやすいため、効率的なマーケティング施策の実施や新商品開発の助けになります。
EC販売の始めるための8STEP
EC販売を行うためには、8つのステップを行う必要があります。
一つ一つ詳しく解説します。
STEP0. ネット販売は個人でもできる時代
まず前提条件として、インターネット販売は個人で誰でも簡単に行える時代になっていることです。
EC事業を行っている企業の中には、趣味で作っていた商品をSNSで販売しはじめたことをきっかけに、EC事業を開始した事例もあります。
STEP1.ネットショップで販売したい商品を決める
EC事業を開業する前に、ネットショップで販売したい商品を決める必要があります。
食品・アパレル・医薬品など業種の選定はもちろん、販売する商品の企画を細かく設定することが大事であり、「どのユーザーにどんなニーズを提供するか」を定めることが重要です。
ユーザーは、悩みに寄り添った商品を望んでおり、商品を通じて望んだ体験を得られることを重視しています。そうした顧客ニーズに応えてあげるような商品企画を行えるとよいでしょう。
STEP2.コンセプトとショップ名を決める
販売したい商品の企画を完成させたら、ブランドコンセプトとショップ名を決めましょう。
ブランドコンセプトは、今後の販売戦略を決める重要事項です。ブランドコンセプトが定まっているとユーザーがブランドを探す際、見つけやすくなったりニーズの把握がしやすかったりとさまざまなメリットがあります。
また、ショップ名はブランドを覚えてもらい、コアなファンを獲得するためにキャッチーなショップ名にするとよいです。
STEP3. 商品を準備する
いよいよ商品を準備する段階です。
商品のクオリティは、今後の売れ行きを左右する重要な要素であり、しっかりとこだわった製品を用意する必要があります。
場合によっては、商品の製作を依頼する必要があるため、販売する商品の技術力やノウハウを蓄積した、実績のある企業をリサーチしたうえで、サンプル品のチェックまで細かく行いましょう。
STEP4. モール型?ASP型ネットショップ?おすすめのネットショップ
サービスは?
インターネット販売を可能にするECサイトには5種類あります。
- ECモール
- ASP
- パッケージ
- オープンソース
- フルスクラッチ
この中でサービスを選ぶ必要がありますが、それぞれ構築費用や維持費が大きく異なるため、適切なネットショップ形態を選択しなければ、利益を上げることが難しくなる可能性があります。
EC事業をスタートする段階であれば、コストの低いECモールとASPを中心に販売を開始し、売上を安定させていくことをおすすめします。
STEP5.ネットショップを開業
適切なインターネット販売方法を決めたら、サイトを公開してネットショップとして開業しましょう。
開業を行うためには、扱う商品によって所定の行政機関に許可を得る必要があります。
・食品(保健所)
「食品衛生責任者免許」「食品衛生法に基づく営業許可」
・酒類(税務署)
「一般酒類小売業」「通信販売酒類小売業免許」
・中古品(警察署)
「古物商許可証」
・医薬品(保健所)
「業薬種商販売許可」
本記事で紹介しているのは一例であるため、どこから販売許可を得るのか分からない場合は、リサーチしたり行政機関に確認をとったりなどをとって確認するようにしましょう。
STEP6.ネットショップの決済方法を決める
インターネットショッピングで多く利用されているのは「クレジット決済」「コンビニ決済」「代金引換」「銀行振込」「キャリア決済」などがあります。
もちろん、全ての決済方法に対応することが理想的ではありますが、複数の決済方法を用意できない場合、最低限としてクレジット決済に対応するようにしましょう。
また、クレジット決済に次いで商品の顧客層にあった決済方法から補っていくと、顧客売上を維持しながら決済方法を増やしていけるでしょう。
STEP7.商品登録や配送の準備
ECサイトに商品の登録作業や注文された際の配送準備をしておきましょう。
インターネットショップでは、実際に商品を触って確認することができないため、商品の登録写真が最も購買行動を訴求する要素といっても過言ではありません。
商品そのものの写真だけでなく使用シーンや着用シーンなど、質の高い写真をいくつか用意しておき、第一印象でどのような商品なのか分かりやすく訴求するとよいでしょう。
また配送の準備として、メール便と宅配便の2種類から行います。
メール便では、軽くて小さい商品を送付しやすく配送費用が安い特徴があります。一方で宅配便では、あらゆる商品に対応しやすいためネットショッピングで多く使われている配送方法です。
自社のサービスや商品によって、適切な配送方法を選択し、準備しておきましょう。
STEP8.集客をする
商品登録・配送準備が完了したら、商品を購入してくれるユーザーの集客を行います。
SNSで商品やブランドの宣伝を行いながら、コミュニケーションを図ることや、SEO対策を施したブログコンテンツを用いて、効率的に集客を行っておきましょう。
また、どのような顧客体験を提供できるかにフォーカスを当てて、商品開発を行ったり悩みに対してどのように解決に導いたりと、力のある企業と競合しないような市場を意識して販売戦略を選定することも集客には重要な要素です。
まとめ
EC販売は、インターネットによる販売方法を総称するビジネスモデルです。
店舗をもたない企業でも世界中に販売できるようになったり、顧客データを蓄積しやすかったりと、さまざまなメリットがあるため、年々市場規模が増加しています。
EC販売を始めるためには、8つのステップと1つの考え方を覚えておきましょう。
- STEP0. ネット販売は個人でもできる時代
- STEP1.ネットショップで販売したい商品を決める
- STEP2.コンセプトとショップ名を決める
- STEP3. 商品を準備する
- STEP4. モール型?ASP型ネットショップ?おすすめのネットショップサービスは?
- STEP5.ネットショップを開業
- STEP6.ネットショップの決済方法を決める
- STEP7.商品登録や配送の準備
- STEP8.集客をする
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