D2CビジネスにおけるECサイト運営のやり方は、なかなか他の人から聞くのは難しいですよね?本記事ではECサイトを運営するメリット・デメリットや流れを分かりやすく解説しています。ECサイト運営に役立つおすすめ書籍も紹介してますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ECサイトとは?
ECサイトとは、「Electronic Commerce」の略称である「電子商取引」を意味する「EC」とウェブサイトを組み合わせた言葉であり、インターネット上で商品を販売するウェブサイトを指す言葉です。
利用するユーザーは、スマートフォンやパソコンを用いてECサイトにアクセスし、商品の選定・購入が可能なためいつでもどこでもショッピングができるとして、近年注目を集めている販売形態の一つです。
従来の店舗型販売と比べてECサイト構築費が安く済むため、新規参入事業者がECサイト運営をしているケースが多く、「D2C」とよばれるビジネス戦略と相性がよいとされ、年々市場規模が増加している傾向にあります。
ECサイトを活用しビジネスを始めるメリット・デメリット
ECサイトを活用したビジネス戦略を始めている企業は多く、新事業のほとんどがECサイトを活用した販売形態を行っているといっても過言ではありません。
ECサイト販売にはどのようなメリット・デメリットがあるか紹介します。
ECサイト活用のメリット
ECサイトを活用するメリットは、「拡張性が高い」ことです。
従来の店舗型販売の場合、新商品の入荷やキャンペーンの実施など何かしらのアクションを行うたびに店舗のスペースや教育コストがかかってしまい、限られたリソースの中で運営を行う必要があります。
しかし、ECサイト運営による販売方法の場合、特定の店舗を持たない関係で新商品の入荷やキャンペーンの実施はECサイトを更新する作業だけで行うことができます。
また、インターネットを活用しているため日本中にいるターゲットが顧客となる可能性があり、地域に縛られない自由な販売戦略を実施できるのも拡張性が高い理由の一つであるといえます。
ECサイト活用のデメリット
ECサイトを活用するデメリットは、「ライバルが多い」ことです。
従来の店舗型販売は、出店する場所や地域によっては競合の少ない地域に出典を行うことも可能ですが、ECサイトでの販売はECサイトを運営している他社企業と競合してしまうため全国の企業と同じ市場で販売しなければなりません。
また、ECサイトに限らずインターネット上に存在するあらゆる情報の中から、自社運営のECサイトを顧客に選んでもらい誘導する必要があるため、販売だけでなく認知の段階でもライバルが存在してしまう状況になりかねないことに注意しましょう。
ECサイト運営の大まかな流れ
ECサイト運営には、商品を販売するためのフロント業務と販売活動を管理するバックエンド業務の2種類に分けられます。
ECサイト運営のフェーズごとに注力する業務は変わってきますので、流れごとに詳しく紹介します。
商品企画
ECサイトで利益を上げるためには、商品が売れることが大前提であり、トレンドや売り時を考慮した商品は必要不可欠です。
ECサイトで販売を行う前に、長い時間をかけて顧客のニーズや市場のトレンドをキャッチするよう綿密なリサーチを行い、ビジネスプランや販売計画の作成をしていきましょう。
また、商品企画の段階で自社商品を作成する工場や配達業者など、商品展開に必要なパートナー企業探しを同時並行で行う必要があります。
仕入れ・製造
ビジネスプランや販売計画を基にした商品企画が作成できたら、商品の仕入れ・製造を行っていきましょう。
ただし、販売計画によっては予想以上に商品が売れてしまい在庫不足による機会損失につながる場合や、商品の認知が予定より進まない場合など、さまざまな状況に対応できるよう事前に準備を進める必要があります。
サイト制作・更新管理
販売の主戦場となるECサイトの制作や更新業務は商品の売れ行きを左右する重要な要素です。
顧客と接点となるメインコンテンツですので、ブランドコンセプトに合ったサイトデザインになっているのか、サイト利用者に使いやすいUI/UX設計になっているのかといった、多角的な視点でECサイトの評価をしましょう。
また、商品説明や宣材写真など商品に関する情報は、ユーザーが商品を購入する直接的な要素ですので、売上を上げるためにも妥協せずしっかりと吟味することが大切です。
プロモーション
サイト作成・更新業務が完了すれば、プロモーションを実施し、ユーザーに商品の認知を広げる広げていきましょう。
自社の資金力や持久力によって、実施すべきプロモーションは異なりますが、ECサイトでよく使われるプロモーションとして、ブログコンテンツとSNSによるプロモーションが実施されています。
ブログコンテンツでは、ブランドストーリーや事業者の思いを発信し賛同する顧客に認知してもらえるほか、SEO対策によって顧客のニーズをつかむ有益な情報の提供など、商品を購入しやすい顧客へ認知を広げやすい特徴があります。
また、SNSプロモーションでは拡散力に優れているため、不特定多数に認知されやすい特徴があり、インフルエンサーに利用されれば一気に商品の知名度を向上させる可能性があるため、自社ECサイトのアクセスを増やすことにつながります。
受注処理
商品の購入を行った後に発生する業務が受注処理にあたります。
注文状況をお知らせするメールの送信や注文した商品の出荷指示を行う工程であり、コミュニケーションとは違う連絡業務の部分なのでミスや不具合の無いようユーザーファーストな視点で遂行しましょう。
在庫管理
在庫管理は、販売予測を基にした商品の投入はもちろんですが、販売予測の通りになることは稀であるため、商品の売れ行きに応じて過剰在庫や品切れが起こらないよう臨機応変に対応していくことが大切です。
また、ECサイトの場合はシステムを活用し、注文と在庫の計算を容易にすることで業務の効率化が行えるため、業務量が過多にになる前から検討しておくとスムーズに在庫管理が行えます。
出荷
商品の梱包・出荷を行う作業です。
ECサイトを活用した企業では顧客体験を充実させるため、梱包する資材の頑丈さやデザインなどの外装にコスト面で負担がかからない範囲で注力している企業が多いです。
購入した商品を初めて目にした際、心づかいが感じられる企業だとアピールできる部分ですので、ブランドコンセプトを重視したデザインを考えておくとよいでしょう。
配送
実際に配送業者に商品の配送をしてもらうよう手配します。
配送業者によって、サイズ制限や金額が異なるためあらかじめ選定しておく必要があり、受注タイミングによっては手配が遅れてしまう可能性があるため、複数の配送業者と提携しておくとスムーズに配送を行うことが可能です。
アフターサービス(問い合わせ管理)
ECサイトで商品を購入した顧客の声を収集できると、次の商品開発や商品改良のヒントになる場合が多く、より高品質な商品展開につながります。
良い意見だけではなく、中には不具合やクレームといった連絡をもらうこともありますが、アフターフォローを真摯に行い再発防止に努めましょう。
また、継続的に商品を購入していただくために、次回使えるクーポン券や商品レビューの特典などの施策を行うことが大事といえます。
ECサイトの構築・運営に必要な費用、時間、スキルについて
ECサイトの構築や運営にはさまざまなコストが発生します。
具体的には、構築費用やサーバー管理費などの管理費用や必要スキルや時間コストなどです。
それぞれ紹介いたします。
ECサイトの構築・運営に必要な費用は?
ECサイトの構築方法は大きく分けて5つに分けられます。
簡易表を作成致しましたので、参考にしてみてください。
構築方法 | 費用 | 月額コスト | カスタマイズ性 | 構築必要期間 |
ECモール | 数万 | 安い | 無し | 短い |
ASP | 0~数十万 | 安い | 無し | 短い |
パッケージ | 0~数百万 | 安い~高い | 高い | 短い~長い |
オープンソース | 数百万~ | 高い | 高い | 長い |
フルスクラッチ | 数百億 | 高い | 高い | とても長い |
どの構築方法も一長一短ありますが、事業開始段階でECサイトを活用するのであれば、ASPがおすすめです。
カスタマイズ性こそありませんが、ECサイトを運用するための機能は十分に揃っており、構築費用やランニングコストが比較的安価に済むため、ASPで売上を十分に上げてからECサイトを変更させても遅くはないでしょう。
運営にかかる費用は、選んだサーバーやドメインなど運用方法によって、金額が変動してしまうため決まった値段がないため、事前に調査を行いながら運営費を算出しましょう。
ECサイトの構築・運営に必要な時間は?
ECサイトの構築にかかる時間は、構築方法や技術力、人員人数によって異なりますが、およそ1か月~2か月ほどで完成します。
また運営に必要な時間は、ECサイトを閉鎖するかECサイト運営に必要なお金が払われなくなるまで続きます。
ECサイトの構築・運営に必要なスキルは?
ECサイトの構築に必要なスキルは、「webデザイン」と「プログラム」のスキルが必要です。
webデザインは、ECサイトの外観部分である文字やレイアウトの配置をプログラミング言語を用いて作成します。ECサイトに訪れる顧客の接点になる部分ですので、ブランドコンセプトにあわせてデザインを作成する必要があります。
一方でプログラムは、顧客登録システムや注文システムなどのECサイトの内装部分を構築するスキルであり、顧客が実際に目にする部分を作成することはありません。しかし、webデザインの作成より難易度が高く相応の技術力が求められるため、細かくスペシャリストがいるスキルです。
ECサイト運営に必要なスキルは、「webマーケティング」と「カスタマーサポート」です。
webマーケティングは、広告運用やSNSなど集客を行うスキルとECサイトのデータ分析など集客した顧客が購入してもらえる仕組み作りを行うスキルを併せ持つ必要があります。
どれだけ集客しても購入してくれなければ集客を行う意味はありませんし、高品質な商品も認知されなければ売上を上げることはできません。そのため、webマーケティングスキルと一口にいっても細かく分けられているケースが一般的です。
初心者向けのECサイト運営の勉強に役立つ本をご紹介
ECサイトを運営するにあたって、必要なスキルを学べるおすすめ書籍を3つ紹介します。
実務の中で役立つ知識が網羅的に学習できるため、まずは気になった本から読んでみましょう。
先輩がやさしく教えるEC担当者の知識と実務
ECサイトの運営を行うにあたり、専門的な職種についていない限り教わることは少ないと思います。
本書籍では、ECサイト運営に最低限必要な知識や実際の作業レベルにあわせた解説が写真やイラストを交えながら分かりやすく記載されています。
まずは一通りの概要をつかみたい方やECサイト運営を手伝う新入社員の方におすすめできる1冊です。
成功するネットショップ集客と運営の教科書
本書籍の前半では、事業を開始させ運営を続けていくために必要な心構えとショップならではの強みを確立することの重要性を身に着けられます。
後半部分では、ネットショッピングのユーザーコミュニティを通ることを重視した内容で、ECサイト運営における一連の流れが分かりやすくまとまっています。
ECサイトを初めて運営する方にとって必要な知識や考え方を網羅的に学べるため、おすすめの書籍だといえます。
はじめてのネットショップ 開店・運営講座
実践に即した内容であり、重要な項目にはマークシートがあるため実際にECサイト運営をしながら学ぶ人におすすめの書籍です。
お客さまに商品をわかりやすく丁寧に伝え、商品にどんなメリットがあり、購入していただくためにどう構築していくかなど、当たり前のことを当たり前にやることの確認にもなるので、初心を忘れてしまったと思っている方にもおすすめできる1冊です。
ECサイト運営の成功のための秘訣とは?
ECサイト運営を成功させる秘訣は、「ユーザーにどういう体験をしてもらいたいか」を追及することです。
ECサイトを成功させるにあたって大きな障害となるのが同業他社の存在であり、自社の商品を広めていく上で他の商品と差別化することが最も重要な要素になります。
ECサイトを介した販売企業は今や星の数ほど存在しており、顧客がどのECサイトで購入しても似たような体験を得ることができるため、最も手間のかからないECサイトを選んでしまう傾向があります。
そのためECサイトを通じて他社にはない顧客体験を提供することで、ECサイトを訪れた顧客にファンになってもらうことができ、他社との差別化を図ることができます。
ECサイト やり方:まとめ
ECサイトは、直接的に購入者と販売者がやり取りを行うインターネット上の店舗ですが、従来の店舗と違い販売方法や戦略の自由度が高く、比較的低コストで始められるため近年になって注目を集めている販売形態の1つです。
しかし、ECサイトの構築や運営を行うスキルは多様化しており、専門的なスキルを身に着けた人材を確保しなければならず、場合によってはインターネット上に埋もれてしまう可能性があるため時間のかかる販売方法ともいえます。
自社にとって今一番必要なフェーズやスキルを正しく把握するために、書籍や他社の情報をリサーチし、どういった販売計画を立てるべきなのかじっくり考えながらECサイトを運営していきましょう。