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D2Cビジネス情報
2022.6.13
【OEM契約とは?】OEM契約とライセンス契約の違いについて徹底解説
OEM 契約

 

OEMの契約をする際、確認するべきポイントや記載すべき内容が多くあります。今回の記事ではOEM契約とライセンス契約の違いや、OEM契約をする際の注意点についても解説します。新規にOEM契約を行う方やD2Cビジネスに興味がある方は是非参考にしてみてください。

 

OEM契約とは?

OEM契約とは、「他社ブランドの製品を製造する」という意味を持つOEM(Original Equipment Manufacturing(Manufacturer))企業と、他社ブランドの製品を製造することを約束する契約です。

委託側のブランドとして販売しているため、製造を行っている企業は商品に刻印する商標ロゴを委託側の商品ロゴを刻印することを約束する契約であるともいえます。

幅広い業界でOEM契約は行われており、自動車業界・食品業界・医薬品業界など、市場にあるほとんどの製品がOEM生産によって作られた製品が販売されています。

OEM ライセンス

ライセンス契約との違いとは?

OEM契約とライセンス契約は、契約する内容そのものが違う点を覚えておきましょう。

OEM契約の場合は、「他社ブランドの代わりに製品を製造する契約」を行うものでしたが、ライセンス契約では「知的財産権の利用を他社に認めてもらう契約」です。

製品の企画や設計は会社の知的財産であり、国の法律により保護されています。しかしライセンス契約を行うことで、企画や設計を使用する許可を得られ、販売を行う権利を取得する契約です。

言葉そのものは似ていますが、権利の利用契約であるライセンス契約と製造を受託してもらうOEM契約は異なるものですので、しっかりと理解しておきましょう。

OEM契約のメリット・デメリット

OEM契約には、メリット・デメリットがあります。

また、委託側・受託側でそれぞれメリット・デメリットが異なるため、それぞれ詳しく解説します。

 

OEM契約のメリット

まずは、OEM契約のメリットを紹介します。

委託企業と受託企業でメリットが異なるため、あわせて見ていきましょう。

委託企業側のメリット

  • ・製造に必要な初期投資や生産コストを削減できる
  • ・自社の生産能力不足をカバーできる

OEMに委託する企業側のメリットとして、生産設備をもたなくても市場に参入できるメリットがあります。

生産設備の用意には、土地代や維持費がかかり莫大な初期コストがかかります。また、生産設備を整えられる予算があっても、継続的に商品を製造し、販売による利益を上げ続けなくてはなりません。

OEM企業に委託することで、生産設備をもっていない場合でも、商品の生産を行えるようになり、市場参入が行えます。

また、生産設備不足による供給不足の解消にもOEM生産は使われており、生産能力の不足を委託して解消できるメリットも持ち合わせています。

受託企業側のメリット

  • ・生産量の増加により利益を増やすことができる
  • ・安定的な収益源を得られる

受託企業側のメリットとして、製造のみを契約としているため、商品の売れ行きに関わらず、安定的な収益源を得られるメリットがあります。

また、委託企業の商品の売れ行きが良く、生産量が増えた場合収益性が増すこととなり、利益の確保を行えるようになります。

工場にとって、稼働率は収益源に直接影響しているため、できる限り稼働させ続ける必要があるため、自社販売では補え切れない部分を、委託企業側に補ってもらえるため、Win-Winの関係といえます。

OEM契約のデメリット

一方で、OEM契約にもデメリットがあります。メリットと同じく委託企業と受託企業のデメリットは異なるため、それぞれ分けて解説します。

委託企業側のデメリット

  • ・技術力や生産能力が向上しない
  • ・委託企業が将来的にライバル企業となるリスクがある

委託企業側のデメリットとして、自社の技術力や生産能力が向上しないというデメリットがあります。

生産部分を委託しているため、原料によるコスト削減や製造による新技術の導入検討など技術的な部分のノウハウを蓄積できないためです。

また、製造を委託する関係上、商品の企画や設計図を共有する必要があるため、OEM契約を結んでいる企業に、自社の開発ノウハウを参考にした新製品開発に乗り出す可能性があり、長期的なOEM契約は競合他社を生む可能性がある点に注意しましょう。

受託企業側のデメリット

  • ・自社ブランドが育たない
  • ・自社の製造技術が流出するリスクがある

受託企業側のデメリットとして、自社ブランドが育たないデメリットがあります。

他社ブランドの製造を行っている業務中は、自社ブランドの商品を製造しているわけではありません。製造した商品を通じて、製造技術が流出してしまうリスクがある点も覚えておきましょう。

可能であれば、OEM企業の製品を作成しながら自社のブランド商品を製造・販売を同時並行で行っていく必要があります。

ライセンス契約

OEM契約で注意すべき点

商標等の委託者のブランド表示はOEM契約の最も重要なポイントであり、注意すべき点です。

具体的に規定されている項目としては以下の4つです。

①商標等の態様、表示の方法

②商標等を付した製品を受託者又は第三者のために製造、販売、譲渡、その他処分

 することの禁止

③商標等又は類似商標の無断使用

④商標等の無断での登録出願の禁止

全て重要な要素ですが、商品に関わる「①商標等の態様、表示の方法」はOEM契約を行う際、打ち合わせやサンプルチェックの段階で、イメージ写真や詳細なイラストなど視覚的に分かりやすく伝えられるようにしておきましょう。

OEM契約書に記載すべき事項を確認する

OEM契約を行う上で、契約書に記載すべき事項を確認しておきましょう。

契約書の抜けや漏れは、最悪の場合ブランドの商標権を失ってしまう可能性があるため、厳密に確認しておくようにしましょう。

・仕様

契約書に記載するものとして、最も重要な要素として、商品の仕様を記載しておく必要があります。

仕様書が無ければ、委託企業と受託企業の間に認識の違いが起きる可能性があるため、商品の仕様について、間違いが無いように必ず記載しましょう。

・商標

仕様書に記載する商標についても、契約書で明確に示しておく必要があります。

商標は、ブランドを代表する看板の役割をもち、「製造した商品のどの部分に」「どんな見た目の商標を表示するか」など細かく指定します。

商標も仕様と同様に、イラストや写真などを用いて視覚的に分かりやすくしておくと、認識の違いが起こりにくくなるため、事前に用意しておきましょう。

・危険負担

危険負担とは、製造する商品が委託者・受託者いずれにも責任がないにも関わらず減失・毀損した場合に、商品の対価が発生するのか消滅するのか?という問題です。

時として一方に不利な契約内容になることがあり、場合によっては弁護士が仲介する内容に発展することもあるため、公平な内容になっているのか、商品の対価をどちらがどのように負担するのか決めておきましょう。

・発注保証

製造側の企業からすると、ある程度の量を発注してもらわないと採算が取れなくなります。そのためOEM契約書では、発注する際の最低量を決定する場合が多いです。

多くの場合は、公式ホームページにてロット数と表記されていますので、事前リサーチの段階で、把握しておくとよいでしょう。

・検査

完成した商品の検査に関する内容もあらかじめしっかり決めることが大切です。具体的には、「納品から数えた場合の検査を実施する期限」や「検査方法」、「適合と不適合の判定基準」などを指定します。

万が一商品に問題があり、消費者に著しく損害を与えてしまった場合取り返しが付かなくなる可能性があるため、検査方法について念入りに確認しておくとよいでしょう。

・製造物責任

製造物責任とは、製造物の欠陥により、消費者に損害が生じた場合の責任を意味します。

製造業に関する契約では、一般的な契約の一つです。しかしOEM契約では、販売している企業と製造している企業は異なります。

OEM契約書では、製造物責任が生じた際の、受託側の補償や協力などを盛り込み、製造物責任を無理なく公平に負うようにしておきましょう。

・再委託

再委託とは、製造を依頼された商品について、他の製造業者に再び委託する行為です。

OEM契約書では、再依頼を禁止する旨を盛り込むことが可能です。委託企業を信頼しており、商品のクオリティを担保したいと考えているのであれば、再委託は禁止しておくとよいでしょう。

・秘密保持

OEM契約中に知った情報を外部に漏れないよう秘密保持契約を行わなくてはなりません。

秘密保持契約を行わなければ、自社のノウハウ流出や財務状況などが流出してもおかしくはありませんので、必ず秘密保持を契約書に記載するようにしましょう。

OEM 注意点

OEM:まとめ

OEM契約とは、他社ブランドの製品を製造することを約束する契約です。

あくまで製造を委託する契約の取り交わしですので、知的財産の使用許可を得るライセンス契約とは根本的な契約内容が異なる点に、注意しておきましょう。

OEM契約には、委託企業・受託企業双方にメリット・デメリットが内在しており、上手に活用しながら、お互いWin-Winの関係性を保っています。

また、OEM契約に記載すべき内容としては以下の8つです。

  • ・仕様
  • ・商標
  • ・危険負担
  • ・発注保証
  • ・検査
  • ・製造物責任
  • ・再委託
  • ・秘密保持

これらの内容が、漏れなく記載されているのかどうかを確認した上で、委託企業にもしっかりと理解されているのか、コミュニケーションをとりながら確認しておくとよいでしょう。