工場探しや外注パートナー選び、ブランドストーリー…D2Cブランドを立ち上げたいけど何をするべきかわからないですよね。本記事ではブランド立ち上げのポイントから成功事例まで詳しく解説しています。D2Cで成功するために一緒に勉強していきましょう!
D2Cとは?
D2Cについて詳しくは こちらの記事 で詳しく解説していますので、ざっくりと説明します。
D2Cとは、「Direct to Consumer」の略称で、メーカーなどの製造者が小売店や代理店などを挟まず、消費者と商品の取引をする販売方法のことを指します。
インターネットの普及に伴い、製造者にとって消費者との接点のため必要だった直営店の運営が必須ではなくなりました。その代わりとして、SNSやECサイトを活用し製造者と消費者が直接コミュニケーションを通じながら商品販売を行うのがD2Cの特徴です。
その名の通り、小売店など仲介業者を通さず製造者と消費者がダイレクトに商品を購入・販売できるため、製造者には利益が入りやすく、消費者は安く手に入りやすいことがメリットと言えるでしょう。
D2C立ち上げの4つのステップ
D2C事業において鍵となる新商品開発の進め方について4つのステップに分けて説明していきましょう。
D2C立ち上げステップ① ターゲットを決める
「60歳以上の男性」「10代の若者」など商品やサービスを提供する顧客となるターゲット層をまずは定義します。ターゲットとする顧客層を決めることにより商品やサービスのコンセプトや機能、性能を定義しやすくなります。
ある家電商品を「60歳以上の男性」をターゲットとして販売する場合を想定してみます。一般的に年齢が高くなると細かな文字や多くの操作を嫌います。文字やボタンは大きく、機能は単純にというアプローチが必要になってきます。
商品のコンセプトとして「使い勝手を重視して使いやすい商品にする」などの方向性が明確化しやすくなります。他方でターゲットとなる顧客を「60歳以上の身長が170cm以上の男性」などとすると、ターゲット層は更に絞り込まれますが、絞り込まれすぎてその母数が少なくなりすぎてしまうデメリットがありますので注意が必要です。
D2C立ち上げステップ②商品・サービスを決める
商品やサービスは、顧客が「こうしたい」と思う気持ちに対して何らかの障壁があり、満たすことができない状態に対して、商品やサービスを通して、充足させる方法を提供するためのものです。例えば、「ハワイに行きたいといつも思っているけど、時間が取れずにいつになっても行けない」という顧客に対して、「臨場感あふれるハワイの映像とセットで国内のホテルでの宿泊をツアーで提供する」は、このようなニーズに対する商品の1の答えとして考えられます。
D2C立ち上げステップ③市場に出してテストする
商品やサービスを決めたらその市場性をテストしてみる必要があります。
単なる自己満足の商品なのか、一定数の世の中の人たちに受け入れられる可能性があるのかを商品リリースする前にテストしてその有効性を検証してみます。身内の者や関係者がテストしたのでは、客観的な評価とは言い難いためネットなどを活用して参加を呼びかけます。
テストの結果、様々なフィードバックを受けますのでその結果を反映して商品化に向けて更なる改善を重ねていきます。
D2C立ち上げステップ④実際に商品化
市場テストの結果を踏まえ実際の商品化にあたっては事前の十分なシミュレーションが必要です。D2C事業として必要なサイトの準備、プロモーション活動に必要となる初期費用の算出、他方で商品を販売開始した場合に利益が出るまでに要する期間を算出します。算出に当たっては、想定販売台数毎に算出してみます。以上の数字を検証しながら、商品化可否の慎重な判断が必要です。
D2Cブランド立ち上げのポイント3点
D2Cブランドを立ち上げる際のポイントは、
- 工場探し、外注パートナー探し
- 顧客ニーズ調査
- ブランドコンセプト(ブランドストーリー)
の3点です。
どれか1つでも欠けてしまうとD2Cブランドとして成り立たなくなってしまうので、以上の3点は時間をかけて綿密に進めていきましょう。
D2Cブランド立ち上げポイント①:工場・外注パートナー探し
D2Cブランドの柱となる部分です。
素晴らしいブランドコンセプトがあっても良い商品でなければ消費者がまた購入したいと思うことはありません。そしてそれはD2Cブランドにおいても同じことが言えます。
顧客が満足できるようなスピードと質の物流方法は顧客に安心をもたらし、リピートに繋がっていきます。ですので、納得のいく商品を作ってくれる工場を探し、顧客の元まで商品を届ける物流手段の確保は非常に重要です。
では、工場や外注先をどのようにして探せば良いのでしょうか。
1. インターネットで探す
まず最も初歩的な手段として、インターネットで自ら企業・工場を探す手段が挙げられます。この手段を使う際には「OEM」という言葉が役立つでしょう。
OEMとはOriginal Equipment Manufacturingを略した言葉で、他社ブランドの製品を製造することや会社を表します。
例えば自社ブランドのビールを作りたいのであれば、「ビール OEM」と検索すると委託生産している企業がヒットします。自分でリストを作って各社に聞き込みを行うことでより深い理解が得られますし、企業の比較もすることができます。
2.紹介してもらう
工場が必ずしもホームページを持っているとは限りません。インターネットで検索しても情報が得られない可能性もあります。
例えば服を作りたいのであれば、生地を調達するだけでなく加工工場が必要になります。生地を売っている企業や店に加工業務をしている工場の聞き込みを行い、紹介してもらえるよう頼むこともひとつの手だと言えるでしょう。
3.産地を訪れる
全ての製品にあるわけではないですが、デニムであれば岡山の児島、というように、特定の製品の生産が盛んな地域もあります。名産地を訪れて自分の足で工場を探すことも良いでしょう。
地元の人に聞き込みをしたり実際に町を歩いて見つけた工場に入ってみたりと、忍耐力の必要な作業にはなりますが、その工程で得られるものは計り知れません。
いずれの方法を取るにしろ、行動力が必要な作業です。積極的に行動し、納得のいく商品を作り出すために受託先と沢山コミュニケーションを取りましょう。
また、購買意欲を誘うような見やすいECサイトも売り上げにも多大な影響をもたらします。せっかく購入しようと意気込んでも、カード情報の入力のたびに不具合が発生していたら、購入意欲がなくなってしまいますよね。ECサイトといった顧客の収集手段を外注する場合もしっかりと調査してから依頼しましょう。
D2Cブランド立ち上げポイント②顧客ニーズ調査
いくら良い商品を作っても、商品を購入・必要とする顧客がいなければ意味がありません。商品を買ってくれるお客様がどれくらいいるのか、何を求めているのかを探り、顧客ニーズに則った最高の顧客体験を提供しましょう。
商品を認知した瞬間から顧客体験はスタートします。そのためInstagramなどのSNSやコンテンツブログなどを活用し、消費者の日常に馴染むコンテンツを作成し、顧客体験を高めていくことで商品だけでなくブランドとしての価値が高まっていきます。
ブランドコンセプトに合っている商品なのか、顧客のニーズに沿った商品なのか、など納得のいくまで改良し続ける努力が求められます。
D2Cブランドがやらなければいけない点は、最高の顧客体験を届けることであることを常に念頭に置いておきましょう。
では、顧客ニーズ調査はどのように行えば良いのでしょうか。
おすすめの方法はSNSを使用するソーシャルリスニングです。
ソーシャルリスニングは、TwitterやInstagram、TikTokといったSNS上での消費者の意見を収集・分析して活かすマーケティング手法です。何かを買いたい時、口コミを参考にしようと調べる人は多いですよね。リアルタイムでの消費者の生の声を聞くことはリスク管理や商品開発などの全ての工程に活用できるだけでなく、商品を世に広めて顧客を増やすことにも繋がります。
他にも満足度調査やNPS調査など、様々な方法がありますので興味のある方は調べてみてくださいね。
D2Cブランド立ち上げポイント③ブランドコンセプト(ストーリー)
最後のポイントはブランドコンセプト・ブランドストーリーです。
D2Cブランドは、どのような体験を与えてくれるのかが最も重要な要素の1つとなります。
立ち上げをするD2Cブランドのコンセプトやブランドストーリーに賛同してくれるユーザーは、コアなファンとなって商品を購入してくれたり、周囲の人に口コミを広げてくれたりとブランドの育成してくれる効果が期待できます。
そういったユーザーを集めるためにも、ブランドコンセプトやストーリーを立ち上げの段階でSNSやコンテンツで発信し、認知を広げていくことが大事です。
では、D2Cブランドで成功した企業はどのような商品展開を行ったのでしょうか?
国内・海外で成功したD2Cブランドの成功事例をそれぞれ見ていきましょう。
国内のD2Cブランド成功事例
まずは国内で成功したD2Cブランドを3つ紹介します。
MEDULLA(メデュラ)
MEDULLAは、髪診断やカウンセリングを基に、自分だけのヘアケア商品を定期配送してくれるD2Cブランドです。
髪の悩みは人それぞれ違うため、市販のシャンプーだけでは髪の悩みを解決するのが難しく、妥協する女性は多いと思います。
そんな髪の悩みを抱える女性にとって、自分の髪だけに合わせた商品を提供するMEDULLAは、一躍注目を集めました。
担当するヘアスタイリストのケアサポートも充実しており、髪質が変化した場合でも常に美しい状態をキープしており、ユーザーファーストな顧客体験で成長し続けているD2Cブランドです。
SAKE100(サケ ハンドレッド)
SAKE100は、日本酒を専門的に取り扱っているD2C食品ブランドです。
日本酒に特化したwebメディア「SAKETIMES」(サケタイムズ)を運営しており、日本酒好きのユーザーに向けた有益な情報発信をベースに、日本酒の定期購入サービスや日本酒ダイニングの経営を行うなど日本酒に特化したブランディング戦略を行っています。
カテゴリーを1つに特化することにより、専門的で独創性のある情報を発信できるため、コアなファンが定着しやすい強みを持てます。その結果自社の商品に興味を持ってもらいやすい環境づくりを整えることが可能です。
海外のD2Cブランド成功事例
次に、海外で成功を収めたD2Cブランドを2つ見ていきましょう。
Birdy Grey(バーディーグレイ)
Birdy Grey(バーディグレイ)は、ブライズメイド向けのドレスを販売するD2Cブランドです。
ブライズメイドとは、式場選びや花嫁の衣装選び、当日の準備など主役となる花嫁のあらゆるサポートを行う人のことを指し、おおよそ2~5人が付きそうのが一般的です。
日本ではあまり馴染みの無い文化ですが、ヨーロッパやアメリカでは高い認知度があります。しかしそれまで、ブライズメイド向けの衣装ブランドはほぼ存在していませんでした。
競合のいないニッチな産業に特化することで、ブランドとして地位を確立し、ユーザーの心をつかむ戦略は非常にD2C的といえます。
Prose(プローズ)
Prose(プローズ)は、MEDULLAと同じように、顧客一人一人の髪に合ったシャンプーの提供を行っているD2Cブランドです。
ユーザーへのカウンセリングを通して作成するヘアカルテを基に、自分だけのシャンプーを購入することができるのが特徴です。
日本でもサービスを展開していますが、Proseの拠点であるニューヨークはさまざまな国籍・人種が集まる場所でもあるので、シャンプー制作は難易度が高いといえます。
そんな状態の中で、大衆の中の一人ではなく個人として接する企業姿勢は多くのファンを生み、国籍・人種問わず愛されるD2Cブランドとして成り上がりました。
D2Cブランド立ち上げの際の注意点を解説
D2Cブランドを立ち上げる際に注意したい点は、他の商品にはない強みを作ることができるのかという点です。
特にスタートアップとして立ち上げるD2Cブランドは、既に市場に出回っている商品と競合してしまってはネームバリューで負けてしまいますが、大量消費大量生産が行われている現代ではほぼすべての産業で競合と争うことになります。
D2Cブランドの強みである柔軟さを活かして、先行企業が行っていない生産過程や情報を発信したり大手が行いづらい細やかなサポートを行うなど、他にはない顧客体験を提供する土台を整えておきましょう。
まとめ
D2Cブランドは一般的な企業ブランドの立ち上げに比べて参入障壁が低いため、多くのD2Cブランドが立ち上げに成功しています。
そのため、今回紹介したD2Cブランドのほかにも多くの成功事例があり、それに伴った苦悩も多くあります。
D2Cブランドの立ち上げ後、スムーズに成功するためにも多くの企業や競合他社の成功事例などもリサーチを行い、自分達だけの強みを見つけていきましょう。
今回紹介したD2Cブランド以外の成功事例が知りたい方は、こちらの記事で紹介しているので参考にしてみてください。