皆さんは「ファンマーケティング」という言葉をご存知でしょうか?人々のニーズが多様化していく中、企業側からの一方向的な訴求だけでは、人々の購買意欲を高めることが難しくなりつつあります。そんな中で今注目を集めているのが、「ファンマーケティング」です。ファンをはぐくみ、増やしていくことで、利益の拡大を図るマーケティング手法の1つ。それがファンマーケティングです。そこで今回の記事では、ファンマーケティングに関する基本情報やメリット、またファンマーケティングをこれから始めるにあたって参考にしたい成功事例まで、ファンマーケティングについて幅広く解説いたしますので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
目次
ファンマーケティングとは?
ファンマーケティングとは、特定の商品やサービスなどに対して強い愛着を持った「ファン」を生み出し、増やしていくことで企業価値を高め、中長期的な売上の拡大を図るマーケティングの手法のことをいいます。
そもそも「ファン」という言葉には、特定の人物やサービス、事象などに対する支持者、または愛好者という意味があり、この「ファン」という言葉と「マーケティング」という言葉を合わせた言葉が「ファンマーケティング」になります。
企業にとって、この「ファン」という人達はとても重要な存在です。
なぜなら多くの場合ファンは、購入頻度が高く、リピート率も高いため、LTV(顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値)が高いという特徴があるからです。さらに、周囲への発信も積極的に行ってくれるため、他の利用者のリピート率向上や新規顧客の獲得にも貢献してくれる頼もしい存在なのです。
これらの理由から、多くの企業がファンの獲得に力を入れており、今回ご紹介するファンマーケティングも近年大きな注目を集めているのです。
ファンを獲得するメリットとは?
ファンマーケティングとは何かご理解いただけたかと思いますが、そもそもファンを獲得するメリットは何でしょうか?
ここではファンを獲得することで得られるメリットを3つご紹介します。
1. リピートしてもらえる
ファンの大きな特徴の1つとして、リピート率が高いことが挙げられます。
そしてリピート率は企業の売上の鍵を握る指標でもあります。
リピーターが多い、リピート率が高いということは、それだけ「これはいい商品・サービスだ。また利用しよう!」と思ってくれた顧客が多いことを意味します。
それゆえ、ファンマーケティングを行ってファンを増やすことは、売り上げを上げることに直結するのです。
ファンマーケティング自体は、結果が出るまでに時間のかかる施策ではありますが、中長期的に見れば、売上の安定化や向上が見込めるため、積極的に行う企業も増えているのです。
経済学の用語に「パレートの法則」というものがあります。
パレートの法則とは、ある特定の要素2割が全体の8割の成果を生み出しているというものです。
これをファンマーケティングに当てはめると、
「顧客全体の2割である優良顧客(ファン)が売上の8割を上げている」と言うことができます。
この割合については多少の前後があるかもしれませんが、基本的にはこの法則が当てはまっているといっても過言ではありません。このことからも、いかにファンの存在が企業にとって大切かお分かりいただけるかと思います。
2. フィードバックをもらえる
2つ目のメリットは、ファンからフィードバックがもらえるという点です。
多くの企業がファンマーケティングの施策の1つとして、ファンとコニュニケーションを取っています。SNSを通してコミュニケーションを図ったり、時にはファンと交流するイベントを通してコミュニケーションを取ることもあります。そのような交流の中で、ファンから「〇〇のこういうところが好き」や「ここをもっとこうした方が良いと思う」などといったフィードバックをもらうことができるのです。
必ずしも良いフィードバックばかりをもらえる訳ではないかもしれませんが、そのような顧客からのリアルな声を今後のファンマーケティングの参考にしたり、更なるサービスの向上のために活用することができるかもしれません。
3. 良い口コミを広めてくれる
3つ目のメリットは、良い口コミを広めてくれるという点です。
口コミは消費者行動に大きな影響を与えます。記事を読んで下さっている皆さんの中にも、何かサービスや商品を購入しようとした際、口コミに影響を受けた経験があるという方も多いのではないでしょうか。ポジティブな口コミが多ければ、それが消費者の背中を押す要因にもなりますし、逆にネガティブな口コミが多ければ、購買をやめるきっかけにもなり得るのです。そのため、多くの企業はポジティブな口コミを集めるために商品やサービスの改善を行なったり、マーケティング施策を実行したりしているのです。
ファンになってくれた顧客は、商品やサービスに対するポジティブなクチコミをSNSや口コミサイトなどで発信してくれるケースも少なくありません。そしてそのようなポジティブな口コミが拡散されていくことで、新規顧客の獲得や、新たなファンを生み出すことにも繋がるのです。
ファンマーケティングの成功事例をご紹介
ファンマーケティングを行なったことで成功を収めた企業は多く存在します。
ここではその中からいくつかの企業の成功事例をご紹介します。
スターバックス
ご存知の方も多いかと思いますが、スターバックスは、アメリカのシアトル発祥のコーヒーチェーン店で、1996年に日本に上陸しました。意外に思われるかもしれませんが、スターバックスは日本でテレビCMを流したことが無いのです。では一体スターバックスはどのようにしてプロモーションを行い、ファンを増やしていったのでしょうか?
実はスターバックスは、顧客から直接意見を集め、商品開発や店舗の改善を行い、それらをブラッシュアップすることで顧客を熱狂的なファンに育てていったのです。
具体的には、「アメリカの店舗にはWi-Fiがあるのに、なぜ日本にはないのか。」という顧客からの声に耳を傾け、電源やWi-Fiの設置などの店舗改善を実施しました。
スターバックスを日常的に利用している方はご存知かもしれませんが、スターバックスでは、レシートにアンケートがついていることがあり、このアンケートに答えると次回のドリンクが無料になるという施策も実行しています。本来アンケートは面倒だと感じてしまい、敬遠されがちではありますが、ドリンク1杯無料という特典がついてくるため、答えてもらえいやすくなります。またお店目線でも、顧客の意見を取り入れて、サービス改善や今後のマーケティング施策にも活用できるため、とても効果的な施策だといえるでしょう。
このような活動の結果、スターバックスは多くのファンを獲得することができただけでなく、商品やサービスの改善にも成功しました。
ハーゲンダッツ
高級アイスクリームの王道として、全世界50ヵ国以上で食べられているハーゲンダッツ。
そんなハーゲンダッツですが、ファンマーケティングにも力を入れています。
ハーゲンダッツは定期的に「ファンミーティング」というイベントを実施しています。コロナ以前は、レストランを会場として利用し、参加してくれた人達にハーゲンダッツのオリジナルメニューを振る舞ったり、ハーゲンダッツにまつわるクイズを実施するなどの参加者一人一人が能動的に楽しめるようなイベントを実施しました。
またハーゲンダッツはSNSの活用にも力を入れています。
Facebook、Twitter、Instagram、Lineの4つのSNSを活用しており、Facebookは「真面目モード」の時に見られやすいという特徴があるため、オフィシャルな情報を投稿する。Instagramは「素敵なものに敏感になるモード」で使われる傾向があるため、映えを意識したおしゃれコンテンツの投稿を心掛けるなど、それぞれのSNSの個性を活かした運用をしています。
公式SNSの合計ファン数は1,000万人以上にも上り、ハーゲンダッツファンの数の多さ、熱量の高さを物語っています。
まとめ
ファンマーケティングに関して、基本情報や成功事例をご紹介しました。
ファンを増やしていくことが企業にとっていかに重要なことであるかご理解いただけたかと思います。
ファンマーケティングは結果が出るまでに時間のかかる施策であるため、中々実行できない企業がいることも事実です。しかしファンマーケティングを実行し、ファンを獲得することは、中長期的に見れば企業の売上アップに貢献する切り札にもなり得るのです。
今回ご紹介した成功事例なども参考にしながら、ファンマーケティングを始めてみてはいかがでしょうか。