ブランディングは、近年マーケティングにて注目を集めている分野ですが、急に生まれた概念ではなく、元々多くの企業が実践していた部分が、時代のニーズの変遷、マーケティングの多様化等によって、ブランディングへの注目度が高まっています。
しかし、ブランディングとは一体何を意味するものなのかや、どのように実践すべきものなのか、実はよく分かっていないという人も多いようです。
そこでブランディングとは何かやマーケティングとの違いなど、ブランディングについて様々な角度から見てみるとしましょう。
目次
ブランディングの正しい意味とは?
ブランディングとは、ブランドを作るための活動・行動です。
そもそもブランドとは、他者・他社と区別するものと定義できるものです。これらを踏まえると、ブランディングとは、他者・他社と区別する部分を作るための活動や行動だと定義できます。
ライバルにはない、自社独自の魅力を作り、消費者にアピールすることこそ、ブランディングです。つまり、他社を模倣したり、他社と同じサービスを値下げして提供するだけではブランディングではありません。
つまり、ブランディングとは自社独自の魅力を確立することだと考えてよいでしょう。
ブランディングとマーケティングの違いについて
ブランディングはマーケティング戦略として用いられることもありますが、厳密にはマーケティングだけのものではありません。
例えば政治家や芸能人など、著名人もブランディングを行い、自らのイメージを作りあげるケースが珍しくありません。
マーケティングの一環として採用されることもありますが、マーケティングの中だけのものではなく、あくまでも他者との差別化や魅力の確立がブランディングです。
しかし、その戦略がマーケティングにも必要であることから、マーケティングの世界でも意識される概念となりました。
マーケティングとは、自社の強みを把握したうえでの需要や競合の調査等、商品・サービスを売るための戦略です。そのため、ブランディングとマーケティングは基本的に別物ですが、マーケティングの手法として用いられることがあることから、しばし混同されるケースが増えています。
ブランディングの3つの種類について
ブランディングとは自社独自の魅力や個性を確立する点にありますが、ブランディングの対象は様々ですが、大まかに3つの種類がブランディングの対象になると考えてよいでしょう。
①何をブランディングするか
・商品・サービスのブランディング
比較的多く見られるブランディングとして、商品やサービスを対象にしたものです。
商品・サービス独自の魅力を確立し、アピールすることは競合他社商品・サービスとの差別化も可能です。
商品・サービスのブランディングの利点は、人気を集めることで次の展開を見込める点です。例えば後継商品やサービスは、ブランディングに成功した商品・サービスの特権と考えてよいでしょう。
多くの人が商品・サービスに魅力を感じ、購入・利用したことで人気を集めることで、前作で得た人気・注目度を引き継ぐことが可能です。
例えばiPhoneもその一つです。
人気スマートフォンとして確立されているiPhoneは、新しいシリーズが出る度に、従来の利用者からの注目を集めます。これがiPhoneが、一つの商品・サービスとして消費者から確立された存在であることの証明です。
・企業ブランディング
企業ブランディングとは、特定の商品・サービスに対してのブランディングではなく、企業そのもののブランディングです。
何を特徴にしているのかや理念、コンセプト等をブランディングすることで、企業のイメージアピールとなります。
商品・サービス単体ではなく、企業そのものに対して興味を持ってもらうことになりますので、企業が新商品・サービスを発表する度に、興味を持ってくれることでしょう。
例えばSony。今でこそ保険や金融など様々な事業を手掛けていますが、かつては洗練された、先鋭的な電子機器をリリースする会社としてブランディングされていました。
Sonyの新商品は、時代の最先端。このようなイメージをお持ちの人も多かったかと思いますが、ブランディングによって「最先端ハイテク企業」のイメージの認知に成功していたからこそです。
企業ブランディングは商品・サービスのブランディングよりも難しい面があります。なぜなら、商品・サービスのブランディングは宣伝を通して行えるのですが、企業ブランディングの場合、企業そのもののブランディングになりますので、商品やサービスよりも長期的な戦略が求められます。
また、企業全体のイメージ戦略でもあるので、イメージを失墜させるようなことがあれば、即座にブランディングが失敗してしまうリスクもあります。
②誰にブランディングするか
・アウターブランディング
アウターブランディング、つまりは外に向かってのブランディングです。
こちらは多くの人がイメージするブランディングで、顧客、見込み客に対して行うものです。
そのため、宣伝戦略に直結すると考えてよいでしょう。
また、アフターブランディングは収益に直結します。アウターブランディングにて自社の存在や商品・アピールを知ってもらうことで、利益機会は増えます。商品・サービスの提供に於いて、知名度は重要です。
アフターブランディングによって、自社や商品・サービスの特徴を知ってもらうことは、営業活動の一環でもありますので、アウターブランディングだと意識せず、ブランディグの一環としてすでに取り組んでいる企業も多いことでしょう。
・インナーブランディング
対外的なブランディグであるアウターブランディングに対し、インナーブランディングは社内におけるブランディングです。
社員やスタッフに対して、自社のコンセプトや理念、ビジョン等を正しく理解してもらうことです。
例えば歴史のある企業が、歴史があるので歴史に泥を塗らないよう従業員に教育し、理解してもらうこともインナーブランディングの一環です。
歴史を理解した社員は、歴史に泥を塗らないよう務めることでしょう。
自社のために働く社員たちが自社について理解していなければ、対外的なブランディングも難しいでしょう。また、今の時代は社員の軽率な行動が炎上騒動に発展するリスクもありますので、自社への理解を深めることで、自社に相応しい行動の促進も期待できます。
③誰がブランディングするか
・BtoCブランディング
BtoC(Business to Consume)におけるブランディングとは、企業が個人客、一般消費者に対して行うブランディングです。
これらは基本的に直接的な購買意欲を刺激するためのものです。
商品やサービス、あるいは企業そのものへのブランディングであっても、消費者に対して行うことで、自社、さらには自社の商品やサービスを理解してもらう点が目的です。
一般的な広告や宣伝等、手法は多々ありますので、決して難しいものではありません。
あくまでも顧客を対象にした手法になりますので、手法は多種多様ですが、営利だけを追求するのではなく、基本的には営業活動に自社のコンセプトや理念を合わせてのアピールとなります。
・BtoBブランディング
BtoBとは、企業が企業を相手にするものです。つまり、BtoBブランディングは、企業が企業を相手にブランディングを行うことです。
営利はもちろんですが、信頼性等も問われるので、BtoCブランディングとは勝手が異なる点が多々あります。
例えばBtoCの場合、直接的な営業活動にてブランディングも可能でした。BtoBも直接営業が可能ではありますが、利益だけを追求するのではなく、自社のコンセプト等も理解してもらう必要があります。
商品やサービスだけではなく、自社そのものをアピールしなければならないBtoBブランディングは一朝一夕にはいかないものですが、ブランディングによって大きな信頼を得ることに成功すると、長い付き合いが期待できます。
ブランディングを行うメリットを解説
ブランディングを行うことで、自社のイメージの定着が可能です。
ブランディングとは自社のイメージの確立だとお伝えしました。自社のイメージを魅力だと感じてくれる消費者であれば、商品やサービスを通して、自社の「ファン」として、よき理解者となってくれることでしょう。結果、長期・永続的な利益が期待できます。
また、ブランディングによって名刺代わり的に自社をアピールできます。
商品・サービスをはじめ、自社のアピールは難しいものです。しかしブランティングを行うことで、自社の魅力を分かりやすくアピールできますし、ブランディングによって世間にもイメージが浸透することで、例え初対面ではあっても自社のイメージを理解してくれている顧客も現れることでしょう。
さらにブランディングは自社を客観的に俯瞰できる点もメリットです。
ブランディングとは、無いものをアピールするのではなく、自社の強み・個性を確立させる点にあります。そのため、ブランディングにあたって、どの部分をブランディングするのかなど話し合いを行うことでしょう。そこでの意見は、自社の状況を現しているといっても過言ではありません。
何に強いのか、何がダメなのか。これらを客観的に理解できますので、ブランディングだけではなく、マーケティング全般に役立てることができます。
マーケティングとは、自社の売り込みを意味したものです。強みはどこにあるのかだけではなく、弱点はどこなのかも把握しておく必要がありますが、ブランディングはそれらをすべて俯瞰的に知る機会となります。
自社、あるいは商品やサービスを俯瞰的に見る機会はそうそうありませんので、ブランディングを通して、自社への理解が深まる点もブランディングの隠されたメリットです。
まとめ
ブランディングとは何を意味するものなのか、様々な角度からお伝えしました。
個性化・多様化が問われている時代に於いて、ブランディングにて自社の強みや特徴を確立させることは、時代のニーズにもマッチしています。
一方で、ブランディングにも様々な方法があります。対象、さらには誰が行うのかなど、その手法は多岐に渡るものです。
そのため、ブランディングを行うのであれば、まずはブランディングを正しく理解することが大切です。そのうえで、自社にはどのようなブランディングが必要なのかなどを模索してみるとよいでしょう。