D2Cには、クラウドファンディング以外にも資金調達の方法があるのはご存じでしょうか?D2Cの起業で幅広い戦略が取れるように、今回の記事ではクラウドファンディングを含めたD2C事業における資金調達方法について解説しています。資金調達を通じて自社ブランドでスタートダッシュを決めたい方はぜひご覧ください!
目次
D2Cとは?
D2Cとは、「Direct to Consumer」の略称で、メーカーなどの製造者が小売店や代理店などを挟まず、ユーザーと商品の取引をする販売方法のことを指します。
インターネットの普及とともに、製造者にとってユーザーとの接点のため必要だった直営店の運営が必ずしも必要でなくなりました。
代わりにSNSやECサイトを活用して、製造者がユーザーにとってためになる情報やお得なキャンペーンを幅広く実施するなど、ユーザーにメリットとなる情報を発信して信頼関係を構築する戦略を取るケースが多いのが特徴です。
D2Cブランドで資金調達が必要不可欠な理由とは?
D2Cブランドは、ユーザーとのコミュニケーションを通じて世界観の発信や、ニーズに適した商品を提供するなどユーザー信頼を構築しながら商品展開を行います。
そしてD2Cブランドが発信する夢や情報に共感したユーザーが、D2Cブランドのファンとなり商品を購入するファンマーケティングがD2C販売における基本戦略ですが、ある程度の時間を要するデメリットを持つ戦略です。
そのため商品を購入してくれるファンを獲得する前に、売上が経たず内部資金が枯渇してしまうケースも少なくありません。
D2Cブランドとして、最低限の自走力を確保するためにも資金調達を行うのは必要不可欠といえます。
D2C資金調達するための3つの方法をご紹介
D2Cブランドが資金調達を行う方法は大きく分けて3つあります。
資金調達方法1:クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、群衆の意味を持つ”crowd”と資金調達の意味を持つ”funding”を組み合わせた造語です。SNSやブログコンテンツを通じて、D2Cの商品や夢などに共感したユーザーが応援をする気持ちで資金を募集する資金調達方法です。
クラウドファンディングの特徴は、D2C事業がスタートしていない状態でも資金を募ることができ、資金を投じてくれるユーザーはファンとして応援してくれている状態であるためD2Cビジネスにおいて相性のいい資金調達方法といえます。
またクラウドファンディングの結果によっては、メディアやファンのSNS等の媒体でD2Cブランドの認知度を向上させる可能性があるのが特徴です。
資金調達方法2:日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫から融資を受ける資金調達方法もあります。
日本政策金融公庫は国の公的機関であり、条件を満たした新規事業者や既存の事業者など、比較的多くの事業者に融資を行っています。新規事業者の場合は無保証・無担保で融資しているため条件を満たしているD2Cブランドは積極的に活用したい資金調達方法です。
公的機関から融資を受けたという実績があれば民間の銀行から融資を受けやすくなり、長期的な目線で経営を行っていく場合、有利になるケースがあることを覚えておきましょう。
資金調達方法3:投資家からの調達
3つ目の資金調達方法は投資家から支援を受ける方法です。
D2Cブランドが将来的に成長すると見込まれている場合、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から支援を受けることがあります。融資とは違い出資を受ける扱いになるため資金を返済する必要がなく、投資家は株の価格が上昇したときに株を売却して資金を回収します。
つまり投資家は、資金を回収できる成長するであろう企業を選別して出資しているため、出資を受けようとする場合は、将来性や成長度合いをアピールすることが重要となります。
D2Cブランドの資金調達事例
実際に資金調達に成功したD2Cブランドの事例を2つご紹介いたします!
D2Cコスメブランドの「PHOEBE BEAUTY UP」
PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティアップ)は、20~30代の女子に向けたコスメ商品を展開しているD2Cコスメブランドです。
2019年に1.9億円、2020年に3億円の資金調達を行っており、総額にして約5億円の資金を企業や個人投資家から集めることに成功しました。
美容動画の評判が高く、新作コスメや美容HOW TOなどのコンテンツによって、プロモーションを行わず40万人のフォロワーを獲得した実績があります。
ユーザーのことを第一に考えた広報戦略で、ファンの心を的確に捉えコスメブランドの地位を確立するだけでなく、多くの投資家と出資企業を惹きつけD2Cブランドとしてトップクラスの資金調達事例を生み出しました。
D2C完全栄養食フードブランドの「BASEFOOD」
BASE FOOD(ベースフード)は、完全栄養食と呼ばれる見た目や美味しさをそのままに、人の健康機能を維持する、1日に必要な33種類の栄養素を配合した食品を販売しているD2C食品ブランドです。
2019年に4億円の資金調達に成功しており、1食で必要な栄養素が取れるパンや30種類の栄養素を配合したパスタなど、当時では革新的な商品アイデアとして出資者から期待されていました。
D2Cブランドとユーザーの直接的なコミュニケーションと新たな顧客体験を生む販売戦略は瞬く間に注目を集め、D2C食品ブランドの可能性とD2Cブランドを牽引していく事例を作ったとして投資家の期待通りの企業に育ちました。
D2Cで資金調達を行う際のポイント
D2Cで資金を集めるために、注意するべきポイントが3つあります。
ブランドへの共感やファンの獲得を目指す
資金調達を行うためには、ブランドへの共感やファンの獲得を目指すことが重要です。
資金調達は、D2Cブランドが長期的な戦略を行うために必要な資金力の確保のために必要ですが、クラウドファンディングや投資家などユーザー目線で見れば、商品を前払いで予約購入する感覚に近いといえます。
商品の展開やブランドコンセプトの発表の段階で、SNSやブログコンテンツなどでユーザーにとってメリットのある情報発信やコミュニケーションを行いブランドの認知を増やしましょう。
ユーザーがブランドを好きになってもらえるような土台作りを進め、ブランドが作る世界観を商品として販売できるよう進めていくことが資金調達成功ポイントの1つです。
実績を築いて投資を募る
資金調達を行うにあたり、実績を築くことは非常に重要です。
よほど革新的なアイデアであったり、世界の注目を集めるような商品であったりしない限りいきなり資金を集められるほど信用されていないでしょう。
まずは少ない資本の中で、土台の地固め実績作りをゆっくりと行い、ファンの信用を集めることが第一です。ニーズが集まったタイミングで資金調達をしてからでも決して遅くはないことを覚えておきましょう。
初期段階から投資家にアプローチする
投資家から資金調達を行ってもらうためには初期段階からアプローチしておきましょう。
投資家や出資企業もユーザーの一部であり、潜在的なファンの一人です。一般的なユーザーと同じように、ある程度時間をかけてコミュニケーションを行い信用をされるよう努力することが大事です。
ブランドの世界観や、今後の展望に共感した投資家や出資企業と関係性を構築さえできれば、ファンとして資金を出資してもらう可能性が高まります。
D2Cで資金調達を行う際の注意点
D2Cで資金調達を行う際、信用を失うような事例は徹底して避けましょう。
D2Cにおいて顧客体験が最も重要な要素であり、資金調達を行う段階であっても顧客体験の重要さが変わることはありません。
実績を作るために無理なマーケティングを行う行為や、投資家への過度なアプローチは顧客体験を悪化させると同時にブランドイメージを失墜させる原因になります。
信用を得ることを第一とし、自社でできる最大限の顧客体験を提供する活動を行っていくことで得たユーザーの応援で、資金調達が行われることを常に意識しておきましょう。
まとめ
D2Cブランドにおいて、資金調達は必ずしも必要な要素ではありません。
しかし、資金調達を行うことができずに世間から姿を消してしまったD2Cのほうが圧倒的に多数であり、最低限の自走力を確保するために資金調達が必要不可欠なD2Cブランドは多いといえます。
金融公庫からの融資やユーザーからの出資を得るために綿密なコミュニケーションを行い、信用を得ることが資金調達を行う上で最も重要です。
間違っても信用を失うような行為は避け、D2Cとユーザーが双方ともメリットを与えあう存在でいれるように顧客育成と自社サービスの向上を行いましょう。