どのようなECサイトを作るのか、デザインも問われています。特に扱う商品との親和性は大切で、ECサイトの閲覧者・訪問者の消費意欲を刺激するようなデザインが求められています。
そこで、ECサイトのデザインについて、どのような点にこだわるべきなのかやトレンド、さらにはオシャレで知られているECサイトの事例等をご紹介します。
目次
ECサイトのデザイン・最新のトレンドは?
ECサイトのデザインにもトレンドがあります。
そこで、最新のトレンドとして知られているデザインをいくつかご紹介しましょう。
ニューモーフィズム
ニューモーフィズムとは、立体感のあるデザインです。
ベースとなる背景から、コンテンツが盛り上がっているものや凹んでいるものなど、メインコンテンツの存在感を際立たせるものです。
お洒落な雰囲気と共に、何がコンテンツの主役なのかをアピールしやすい点が挙げられます。
かつて、現実世界の物をWEB上・デジタルの世界で再現しているかのようなデザイン性が注目を集めたスキューモーフィズムと呼ばれるデザイン手法がありましたが、手法が似ている点や、新しい時代に適合していることから、新しいスキューモーフィズム、つまり「ニューモーフィズム」という名称が定着しています。
ニューモーフィズムの考え方として、ベースとなるレイヤーの上に浮かせるだけの立体感ではなく、凹ませる点も取り入れている点です。
つまり、押し出されているものもあれば凹んでいるものもあることから、より立体感の演出が可能になりました。
ニューモーフィズムはコンテンツの主題を明確にアピールしつつ、どこか控えめな印象を与えることもできます。また、洗練された印象を与えることができる一方で、ユーザービリティに関しては必ずしも優れているとは言い難い点がデメリットとして挙げられます。
直感的に、どの部分を操作するのか分かりにくいニューモーフィズムもあります。
アブストラクト・アート
アブストラクト・アートとは抽象的な図形を用いたデザインで、80年代に流行を見せたメンフィスデザインに似ています。
図形はシンプルではありますが、組み合わせたり配色に気を配ることでシックなものからポップなもの、デザイン性の強いものなど、様々なデザインが可能がメリットです。
そのため、ECサイトのジャンルを問いません。一口にECサイトと言っても何を扱うかは様々です。そして扱い商品とECデザインの親和性は重要なポイントですが、アブストラクト・アートの場合、どのような商品とも上手く組み合わせることが可能です。
デザインの幅が広いので商品の販売やサービスの提供など、ジャンルを問わずに活用できる点も含め、多くのECサイトで採用しやすいテーマとなっています。
売れるECサイトのデザインとは?ポイントをご紹介!
ECサイトに求められているのは、端的には「売れる」ことです。
どれだけ美的センスでの評価を得たとしても、売れなければ意味がありません。
デザインも、いわば消費者に訴求するための材料の一つであって、決してデザイン性だけを追求するためのものではありません。
では売れるECサイトのデザインとは何をポイントにしているのかといえば、これから挙げる3つのポイントが重要です。
情報をまとめたシンプルなデザイン
まずECサイトのデザインとして求められるのが、シンプルさです。
デザインに凝りだすと、ついつい複雑なものになってしまいがちで、特に個性を演出しようとすればするほど、他のサイトでは見かけないデザインをとの考えから、複雑なデザインを採用してしまいがちです。
クリエイターとしての気持ちが刺激されるのはよく分かります。
しかし、ECサイトの目的は美的センスを発揮するための場所ではありません。あくまでも提供する商品・サービスを販売するための場所です。
美的センスを発揮するための場所ではなく、閲覧者・訪問者にサイトの閲覧を通して商品・サービスを購入してもらうための場所です。
美的デザインを主張しては、商品・サービスが霞んでしまいます。
そのため、あくまでも商品・サービスを主役に据えたデザインが求められます。さらに、複雑なデザインの場合、訪問者や閲覧者は疲れてしまいます。
ただでさえスマートフォンやPCのモニターの凝視は目が疲れるものです。あまりにも主張が激しいデザインの場合、見ているだけで疲れてしまいますので訪問者や閲覧者の購入意欲を損ねてしまいかねません。
消費者にとって必要な情報をまとめたシンプルなデザインこそ、売れるECサイトに共通したデザインです。
PC・スマホどちらでも見やすいデザイン
近年、ECサイトを閲覧するのはPCユーザーだけではありません。
むしろスマートフォンユーザーの方が多いとさえ囁かれていますので、PCからだけではなく、スマホからでも見やすいデザインが求められます。
PCとスマホの違いとして、モニターの大きさが挙げられます。
PCであればさほど目立たないものも、スマホからだと目立つケースもあります。どちらかだけに特化するのではなく、PC・スマホいずれからも見やすいデザインが求められます。
特にスマホは画面が小さいです。あまりにも多くの色を使うとうるさいデザインで見にくくなってしまいます。また、スマホに関しては文字の大きさ等も重要です。
PCの場合、ある程度フレキシブルにユーザーで設定できますが、スマホの場合は大まかにしか設定できません。そのため、色使いや文字の大きさなど、PCではさほど気を使う必要がない部分まで気を使う必要があります。
もちろんPCからであっても、好き放題してよいことはなく、大きなモニターではあっても見やすいデザインが求められます。
商品・サービスを購入するまでの動線を意識したデザイン
ECサイトの目的は良いデザインのサイト作ることではなく、売るためのサイトを作ることです。
そこで訪問者がサービス・商品購入までどのような流れで動くのかを意識した、つまりは購入動線を意識したデザインも重要です。
例えば申し込みボタンが一番上にあるデザインは、論外と言えるでしょう。なぜなら訪問者は初めから商品を購入するつもりでECサイトにアクセスしているのではありません。
まずは興味本位で見に来ているのです。
文章、画像等、様々な角度から商品・サービスの魅力をアピールするための場所がECサイトになりますので、商品・サービスの説明を見て、「購入しよう」と思ったタイミングで購入してもらえるよう、購入ボタンを置く位置も考慮する必要があります。
理想はPCにせよスマホにせよ、上からサイトを閲覧し、特徴等を見て購入しようと思ったその時に購入してもらえるよう、ECサイトの下部に購入ボタンを設置することです。
何度もページ内を行き来させるのではなく、スムーズな動線を提供することもまた、売れているECサイトの共通点です。
参考になるオシャレなデザインのECサイト事例3選
ECサイトのデザインの方向性は何となく見えてきたのではないでしょうか。
そこで、オシャレだと定評のあるECサイトをいくつかご紹介しましょう。
【アパレル】SCHMECK
丈夫でオシャレという、外観と機能性を両立した子供服を販売しているSCHMECKのECサイトは、オシャレだと評判です。
アパレルのECサイトになりますので基本的には商品を中心に据えているのですが、余計な文字・加工がされておらず、商品を身にまとった子供がいるだけです。シンプルを追求したデザインは見やすいのはもちろんですが、商品の魅力を端的にアピールしています。
また、Instagramにて同社の商品をタグ付けしている画像もサイトに掲載することで、具体例をアピールすると共に、顧客に「自分もサイトに掲載されたい」との渇望感を与えるなど、シンプルなデザインのECサイトではありますが、消費者が購入したくなるような、さらには購入した消費者がサイトに掲載してもらいたいと思うようなコンテンツを用意しています。
ECサイトのデザインはシンプルであるべきとの声もありますが、その声を見事に体現したサイトだと言えるでしょう。
【美容】ADDICTION
美容品のECサイトらしく、お洒落なデザインとなっていますが、サイトの鍵となるのが画像です。
製品そのものが魅力的なデザインとなっていることから、敢えて凝ったデザインにせずとも、商品を掲載するだけでスタイリッシュな印象を与えることに成功しています。
言葉で必要以上に装飾するのではなく、あくまでも画像を中心に展開し、消費者に訴えかけています。
但し、商品撮影に関しては細かいこだわりを持っている点が伺えます。
適当に写真撮影しているのではなく、サイトに掲載された際のデザイン性を重視した画像を多々掲載しています。商品画像をクリックすると、そこで説明文や値段を確認できるのですが、公式サイトにアクセスするだけでは、まるでお洒落なInstagramアカウントにアクセスしたかと錯覚させられることでしょう。
しかし、美容品を求める層にとってはこのようなオシャレな雰囲気は消費・購買意欲を刺激させられるもので、いつまでも見ていたくなるサイトです。
ちなみにスタッフによるコスメの実用例も掲載していますので、美的センスを磨きたい層からの支持も集めています。
【食品】HiO ICE CREAM
お洒落なアイスを販売しているECサイトは、シンプルかつ消費者にとって分かりやすい動線が用意されているサイトです。
まずは自分用なのか、ギフトなのか、あるいは定期的に配送してもらうためのものなのか目的から選べます。その後、商品画像が確認できるのですが、いずれもまさに「映える」画像が多数掲載されています。
これまで食品のECサイトといえば、美味しく食べている画像がセオリーでしたが、HiO ICE CREAMではそのような画像は見当たりません。
芸術作品としても通用するのではと思うような端正な画像が多数掲載されていますので、お洒落なスイーツを求める層との親和性が高い点が特徴です。
まとめ
ECサイトのデザインは自由ですが、美的センスを発揮するためだけではなく、売れるためのデザインが求められます。
消費者心理を考えるのは当然のことで、売れるサイトとは、裏を返せば消費者が購入したくなるサイトです。つまりは消費者目線を意識したECサイトのデザインこそ、求められているのです。