D2Cでのアパレル販売をしたいけど、難しそうだからとなんとなく敬遠している方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、今回の記事ではアパレルD2Cで知っておきたいメーカー直販とD2Cの違いについて詳しく解説しています!また、アパレルD2Cを成功させた事例を紹介していますので、これからアパレルD2Cを始める方必見の内容です!
目次
アパレルのD2Cとは?
アパレルのD2Cとは、アパレルメーカーやブランドによって作られた商品が、自社で運営しているECサイトを通して直接消費者の手元に届けられる販売モデルの一つです。
アパレルメーカーと消費者の間に、仲介業者である百貨店や代理店が仲介することが無いためアパレルメーカーは商品の企画・製造・販売まで一貫して商品展開を行っているのが特徴です。
D2Cでアパレルをするメリット・デメリットとは?
アパレル業界でD2Cを行う場合、どのようなメリット・デメリットが存在するのでしょうか?
アパレルの特徴に合わせたメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
D2Cでアパレルをするメリット
アパレル事業は非常にD2Cと相性が良く、メリットの幅が広いです。
その中でも最も大きなメリットを3つほど紹介します。
・消費者のニーズに対応しやすい
D2Cを採用しているアパレルメーカー・アパレルブランドは消費者のニーズに対応しやすいメリットがあります。
アパレル業界は、季節や年代などその時々に応じてニーズが変化しやすく、その全てに対応しようとすると膨大なコストがかかってしまうでしょう。しかし一般的な店舗販売で商品展開を行っている企業に比べて、消費者のデータや意見などを収集しやすく、集めたデータを基に消費者のニーズに合わせた柔軟な商品展開を行うことが可能です。
SNSや自社HPで消費者とコミュニケーションをとりやすい環境を整えていくことで、より良いブランドを構築していくことができます。
・ブランドコンセプトを伝えやすい
消費者のニーズが受け取りやすいメリットと同様に、製造者であるアパレルブランドも消費者に商品の魅力やブランドコンセプトを伝えやすいメリットがあります。企画・製造・販売まで一貫して行っているからこそ、商品の見せ方やどのような消費者のどのようなニーズに応えているかなどを伝えられるのもD2Cの魅力です。製造者であるメーカーと消費者であるお客様を明確に区別するのではなく、一緒になってブランドを育てていくような関係性は、アパレル業界において非常にマッチしているといえます。
・コストの削減がしやすい
仲介業者である小売店や実店舗を持たないため、手数料や人件費など本来必要なコストを抑えることができます。
また、新作やトライアル商品を少ない数で販売し、売上を見てから生産数を調整することも可能です。
D2Cを採用することによって、余剰在庫を含めたさまざまなコストの削減から効率的な生産体制まで整えることができます。
D2Cでアパレルをするデメリット
一方で、アパレルがD2Cを始めるデメリットもあります。
・市場規模が大きく消費者が分散しやすい
市場が大きいことはメリットになりますが、反対に消費者が分散して十分に商品展開が行えない可能性があります。
近年では、アパレル業界に限らず様々な業種がD2Cを採用し、ECサイトで商品を販売するするケースが増えており、中でもアパレル業界は特にECサイト化に伴う市場規模が急速に拡大しています。2018年に行われた経済産業省の調査によると、物販分野内におけるアパレル産業のECサイト売上は最も高い1.7兆円を超え、前年比で1000億円以上も増加しています。
つまり、市場が大きく商品過多の状態であるため自社の商品が埋もれやすく、十分に商品展開が行えない可能性があります。
出典元:https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002-1.pdf
(経済産業省)
・商品展開に時間がかかる可能性がある
D2Cというビジネスモデルの関係上、製造者と消費者の関係を構築しながらアパレルブランドを育てます。
そのためブランドの認知を広める広報活動と商品の製造開発を同時に行わなければならず、中長期にわたる戦略を効率的に進めることが重要です。特にアパレル業界は競争が激しいため、企業として確立するためには時間と持久力が欠かせないため、しっかりと準備しておきましょう。
メーカー直販とD2Cの違いは?
メーカーの直接販売は、製造者であるメーカーと消費者が直接商品のやり取りを行うことを示すビジネス用語です。
そのため、メーカー直販とD2Cに大きな違いは無く、販売形態としては同じ分類になります。
しかし厳密にいえば販売戦略に大きな違いがあります。
D2Cは消費者と製造者を区別せず、協力関係を結びながら柔軟にブランドを育てていくビジネス戦略が一般的です。
一方で、メーカー直販は消費者と製造者を区別しているため、製造者が作り上げたブランドイメージに合った消費者を顧客とする販売戦略が一般的です。製造者と消費者の関係性の違いがメーカー直販とD2Cの違いであるといえます。
国内で人気のアパレルD2Cブランド3選をご紹介
D2C事業化によって人気を集めたアパレルブランドを3つご紹介します。
FABRIC TOKYO
FABRIC TOKYOは、オーダーメイドスーツを専門で販売しているD2Cアパレルブランドで、インターネットを中心としたD2Cの特性を活かしながら顧客へのリアルな体験を重視した事例を作り上げた企業です。
FABRIC TOKYOの大きな特徴として、自分が持っているスーツやシャツのサイズをサイトで登録できる他、出張採寸サービスなど自宅にいながらオーダーメイドのスーツを注文できる点です。
アパレル業界として、SNSや市場のトレンドを発信しながら消費者と細かくコミュニケーションを取ることで消費者ニーズとブランド位置を確立した戦略は注目を集め続けています。
■画像引用元(FABRIC TOKYO公式サイト)
foufou
foufouは、女性向けにアパレル商品を展開しているD2Cブランドです。
創業エピソードが最大の特徴であり、ブランドを立ち上げた当初は副業としてfoufouを運営しており、空き時間を利用してハンドメイドで洋服を作り上げていました。自分で作った商品をSNSを中心に展開していき、現在では生産管理や物流をなどの業務を外部の会社へ依頼し、今や月間1000万円を売り上げるトップアパレルブランドです。foufouのブランドとしての価値を消費者と一緒に高めていくビジネスストーリーは、低資本から始めるD2Cにとって最も参考になる企業といえます。
■画像引用元(foufou公式サイト)
ALL YOURS
ALL YOURSはクラウドファンディングで、24ヶ月連続で累計5000万円の資金調達に成功した事例がある企業であり、「着たくないのに、毎日着てしまう」ような流行や見た目に流されない服作りを行っています。最大の特徴は、ブランドを応援してくれているファンの方を「共犯者」と呼んでいる点です。商品を買ってくださいというスタンスとはかけ離れた、消費者と一緒になってブランドを盛り上げていくスタンスでコミュニティを作り上げることで、ALL YOURSのブランドイメージを確立した事例は非常にD2C的といえます。
■画像引用元(ALL YOURS公式サイト)
D2Cアパレル成功のポイントとは?
今回紹介した3つの企業には共通点があり、消費者に対して製造者であるアパレルブランドが体験を提供を提供しているという点です。
一般的に店舗を構えているアパレルブランドは、試着や店員さんからのアプローチを通じて消費者に体験を提供していますが、D2Cを採用している企業は同じような体験を提供することができません。
しかし、インターネットだからこそできる体験の提供として、コミュニティやトレンド情報など消費者にとって居心地の良いコミュニティを構築することが何より重要です。
アパレルD2Cを成功させるためには、良い商品を作るのはもちろんのこと消費者とのコミュニティを通じて一緒にブランドを作り上げていくことがD2Cでアパレル事業を成功させるポイントです。
まとめ
D2Cを採用したアパレル事業は、参入障壁の低さとインターネットの発達が相まって年々D2C事業をスタートしているアパレルブランドが増えています。
また低価格・高品質のアパレルブランドが多いこともあり、消費者にとって利用しやすいため市場価値が大きくなっており国内の物販分野において最大の市場です。そうした背景でD2Cアパレルブランドとして成功させるためには、成功事例を参考に消費者のニーズを汲み取った居心地のいいコミュニティを作り上げることが重要でしょう。